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垂れ乳を改善する手術とは|原因と効果的な治療法

垂れ乳を改善する手術とは|原因と効果的な治療法

バストの形が崩れる「垂れ乳」に悩んでいませんか。加齢や出産、急激な体重変化など、原因は様々ですが、セルフケアでの改善には限界があります。

この記事では、垂れ乳の根本的な原因から、美容医療で受けられる効果的な手術方法、それぞれの特徴やダウンタイム、費用相場まで詳しく解説します。

自分に合った治療法を見つけ、自信の持てる美しいバストラインを取り戻すための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

目次

垂れ乳(下垂乳)とは?その原因とセルフチェック

そもそも垂れ乳とはどのような状態か

バストが垂れている状態を医学的には「乳房下垂(にゅうぼうかすい)」と呼びます。バストトップ(乳頭)の位置が、バストアンダーのライン(乳房下溝)よりも下がっている状態を指します。

見た目の問題だけでなく、コンプレックスの原因になることも少なくありません。

垂れ乳の主な原因

バストの形を支えているのは、皮膚とクーパー靭帯です。これらの組織が伸びたり、乳腺組織が減少したりすることで、バストは重力に負けて垂れてしまいます。

加齢による変化

年齢を重ねると、肌のハリを保つコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚が弾力を失います。

また、女性ホルモンの減少に伴い乳腺組織が萎縮し、脂肪に置き換わることで、バスト全体が柔らかくなり垂れやすくなります。

妊娠・授乳の影響

妊娠中は女性ホルモンの影響で乳腺が発達しバストが大きくなりますが、授乳が終わると乳腺は急激に萎縮します。

この時、伸びた皮膚が元に戻りきらず、バストが垂れる原因となります。

急激な体重の増減

急激なダイエットなどで体重が減少すると、バストの脂肪も減ります。皮膚がその変化に対応できず、余ってしまうことで垂れにつながります。

逆に、急に太ると皮膚が伸び、その後の体重減少で垂れやすくなります。

クーパー靭帯への負担

クーパー靭帯は、乳腺組織を支える大切な組織ですが、一度伸びたり切れたりすると元には戻りません。

激しい運動でバストが揺れたり、サイズの合わないブラジャーを着用し続けたりすると、クーパー靭帯に負担がかかり、垂れ乳の原因となります。

自宅でできる垂れ乳セルフチェック方法

鏡の前に立ち、自分のバストの状態を確認してみましょう。

  • バストトップの位置がアンダーバストのラインより下にあるか
  • バストの上部にボリュームがなく、デコルテが痩せて見えるか
  • バスト全体が下向きになっているか

これらの項目に当てはまる場合、垂れ乳が進行している可能性があります。

垂れ乳の進行度分類

医師が診断する際の基準として「乳房下垂の分類」があります。

乳房下垂の進行度(Simonの分類)

グレード状態
軽度 (Grade I)乳頭が乳房下溝と同じ高さか、1cm以内下にある
中等度 (Grade II)乳頭が乳房下溝より1〜3cm下にあるが、バストの最下部よりは上にある
重度 (Grade III)乳頭が乳房下溝より3cm以上下がり、バストの最下部にある

垂れ乳を改善するセルフケアの限界

筋トレやマッサージの効果は限定的

「大胸筋を鍛えればバストアップする」という情報をよく見かけますが、大胸筋はバストの土台となる筋肉であり、乳腺組織そのものではありません。

筋トレでバストの土台を厚くすることはできますが、一度伸びてしまった皮膚やクーパー靭帯、減少した乳腺組織を元に戻すことはできません。

そのため、垂れ乳そのものを直接的に改善する効果は限定的です。

バストアップクリームの役割

バストアップクリームは、肌にハリや潤いを与える成分が含まれているものが多く、皮膚のコンディションを整える効果が期待できます。

しかし、クリームの成分が皮下組織や乳腺にまで浸透し、バストの構造自体を変化させることは科学的に証明されていません。あくまでも皮膚の表面的なケアと考えるのが良いでしょう。

補正下着は一時的な対策

補正下着は、着用している間はバストを正しい位置に持ち上げ、美しい形に見せることができます。しかし、これは一時的な効果であり、脱げば元の状態に戻ります。

根本的な解決にはならず、むしろ締め付けの強い下着は血行不良を招く可能性もあるため注意が必要です。

セルフケアで改善が難しい理由

垂れ乳の根本的な原因は、「伸びた皮膚」と「伸びたクーパー靭帯」、そして「減少した乳腺・脂肪組織」にあります。

これらの組織は、一度変化してしまうとセルフケアで元の状態に戻すことは極めて困難です。そのため、見た目の変化を確実に求めるのであれば、美容医療による治療が有効な選択肢となります。

垂れ乳改善の代表的な手術方法

乳房挙上術(マストペクシー)

乳房挙上術は、垂れたバストをリフトアップするための代表的な手術です。余分な皮膚を切除し、乳頭と乳輪を適切な位置に移動させることで、ハリのある美しい形のバストを目指します。

バストの大きさは変えずに、形だけを整えたい場合に適しています。

切開方法の種類と特徴

切開方法は、垂れの程度に応じて選択します。

乳房挙上術の主な切開方法

切開方法適応特徴
乳輪周囲切開法軽度の下垂傷跡が乳輪の縁に沿うため目立ちにくい
垂直切開法中等度の下垂乳輪周囲と縦方向に切開。より高いリフトアップ効果が期待できる
逆T字切開法重度の下垂乳輪周囲、垂直、アンダーバストのラインを切開。最も効果が高いが傷跡は大きくなる

豊胸手術との組み合わせ

垂れ乳の原因が、バストのボリューム不足にもある場合、乳房挙上術と豊胸手術を組み合わせることで、より理想的なバストラインを形成できます。

シリコンバッグ豊胸術

シリコン製のバッグを乳腺下や大胸筋下に挿入し、バスト全体のボリュームをアップさせます。大きさや形を大幅に変えたい場合に有効です。

挙上術と同時に行うことで、ハリとボリュームの両方を手に入れることができます。

脂肪注入豊胸術

ご自身の体から採取した脂肪をバストに注入する方法です。太ももやお腹など、気になる部分の脂肪を活用できます。仕上がりが自然で、異物を使わない点がメリットです。

ボリュームアップ効果はシリコンバッグよりマイルドですが、デコルテの痩せを補うなど、細かなデザイン調整が可能です。

その他の治療法

手術に抵抗がある方向けに、糸によるリフトアップやヒアルロン酸注入などの選択肢もありますが、効果の持続期間や適応が限られます。

  • 糸リフト
  • ヒアルロン酸注入

糸リフトは医療用の特殊な糸を皮下に挿入し、バスト組織を引き上げる方法です。切開を伴わないためダウンタイムが短いですが、効果は一時的で、重度の垂れには対応できません。

ヒアルロン酸注入は、手軽さが魅力ですが、持続期間は1〜2年程度で、しこりのリスクや乳がん検診への影響も考慮する必要があります。

【手術方法別】メリット・デメリットを徹底比較

乳房挙上術の利点と注意点

乳房挙上術は、垂れたバストの形を根本的に改善できる点が最大のメリットです。自分の乳腺組織を活かすため、自然な仕上がりが期待できます。

一方、デメリットとしては、皮膚を切開するため必ず傷跡が残ること、そしてダウンタイムが必要なことが挙げられます。

シリコンバッグ豊胸術の利点と注意点

大幅なサイズアップが可能で、理想の形を実現しやすいのがメリットです。

しかし、体にとっては異物であるため、被膜拘縮(バッグの周りが硬くなる)や破損、リップリング(バッグの縁が浮き出て見える)などのリスクが伴います。定期的な検診も重要です。

シリコンバッグ豊胸術の主なリスク

リスクの種類内容
被膜拘縮バッグの周りにできる膜が厚く硬くなり、バストが不自然な形になる
破損・漏出強い衝撃などでバッグが破損し、内容物が漏れ出す可能性がある
リップリング皮膚が薄い場合などに、バッグの縁が波打つように浮き出て見える

脂肪注入豊胸術の利点と注意点

自分の組織を使うため、アレルギーや拒絶反応のリスクが極めて低く、感触も自然です。また、脂肪を採取した部分の痩身効果も得られます。

デメリットは、注入した脂肪がすべて定着するわけではないため、ボリュームアップ効果に限界がある点です。また、しこりや石灰化のリスクもゼロではありません。

各手術の比較まとめ

自分に合った手術を選ぶためには、それぞれの特徴を正しく理解することが大切です。

主な垂れ乳改善手術の比較

手術方法主な目的メリットデメリット
乳房挙上術形の改善根本的な垂れを解消、自然な仕上がり傷跡が残る、ダウンタイムが必要
シリコンバッグ豊胸ボリュームアップ大幅なサイズアップ、形の調整が容易異物反応のリスク、メンテナンスの可能性
脂肪注入豊胸自然なボリュームアップ自然な感触、アレルギーリスクが低い定着率に個人差、大幅なサイズアップは困難

手術前に知っておきたいこと|カウンセリングからダウンタイムまで

信頼できるクリニック・医師の選び方

垂れ乳の手術は、医師の技術力と美的センスが結果を大きく左右します。クリニックを選ぶ際は、価格だけでなく、以下の点を確認しましょう。

  • 美容外科、形成外科の専門医が在籍しているか
  • 垂れ乳手術の症例数が豊富か
  • カウンセリングが丁寧で、リスクやデメリットもきちんと説明してくれるか
  • アフターケアの体制が整っているか

カウンセリングで確認すべき重要事項

カウンセリングは、医師と自分の希望をすり合わせる重要な機会です。疑問や不安な点はすべて質問し、納得できるまで説明を求めましょう。

  • 希望するバストの形や大きさ
  • 各手術方法の具体的な内容と自分への適応
  • 傷跡の位置や大きさ、経過
  • 費用の総額(麻酔代、薬代、検診代などを含むか)

手術当日の流れ

手術は通常、全身麻酔または静脈麻酔で行います。当日は、食事制限などの指示に従い、リラックスして臨みましょう。手術時間は内容によりますが、2〜4時間程度が一般的です。

術後は、回復室でしばらく休み、状態が安定してから帰宅します。

ダウンタイムの過ごし方と注意点

術後の経過は、ダウンタイムの過ごし方によっても変わります。

術後の主な症状

痛み、腫れ、内出血などが主な症状です。痛みは処方される鎮痛剤でコントロールできます。腫れや内出血は1〜2週間で徐々に落ち着いていきます。

生活上の制限

術後しばらくは、バストを圧迫・固定するための専用のブラジャーを着用します。シャワーは数日後から可能ですが、入浴は抜糸後になります。

腕を高く上げる動作や重いものを持つこと、激しい運動は、1ヶ月程度控える必要があります。

ダウンタイム中の主な制限事項

項目制限期間の目安
シャワー術後2〜3日後から(患部を濡らさないように)
入浴抜糸後(術後1〜2週間後)
激しい運動・飲酒術後1ヶ月程度

垂れ乳手術の費用相場と保険適用について

手術方法ごとの費用目安

垂れ乳の手術は、自由診療のためクリニックによって費用が大きく異なります。あくまで一般的な目安として参考にしてください。

垂れ乳改善手術の費用相場

手術方法費用相場(税込)
乳房挙上術(乳輪周囲切開)60万円~100万円
乳房挙上術(垂直・逆T字切開)80万円~150万円
シリコンバッグ豊胸術80万円~150万円
脂肪注入豊胸術100万円~200万円
挙上術+豊胸術の組み合わせ150万円~250万円

費用に含まれるもの・含まれないもの

提示される費用に何が含まれているか、事前にしっかり確認することが大切です。

カウンセリング料、血液検査代、麻酔代、薬代、術後検診代、保証制度などが含まれているか、追加料金が発生する可能性はないかを確認しましょう。

保険適用の可否

垂れ乳の改善を目的とした美容目的の手術は、原則として保険適用外となり、全額自己負担です。

ただし、乳がんの再建手術に伴う下垂の修正など、一部のケースでは保険が適用される場合もあります。詳しくは、カウンセリング時に医師に確認してください。

医療ローンやモニター制度の活用

費用面での負担を軽減するために、医療ローンを利用する方法があります。

また、クリニックによっては、症例写真の提供などを条件に割引価格で手術を受けられるモニター制度を設けている場合があります。興味がある場合は、クリニックに問い合わせてみましょう。

手術後の経過とアフターケアの重要性

傷跡の経過とケア方法

切開を伴う手術では、傷跡が必ず残ります。傷跡は、術後数ヶ月は赤みや硬さが目立ちますが、半年から1年ほどかけて徐々に白く、柔らかくなっていきます。

この期間、テーピングや内服薬、外用薬など、医師の指示に従ったケアを続けることが、傷跡をきれいに治すために重要です。

完成までの期間

手術直後は腫れやむくみがあり、完成形ではありません。バストの形が完全に落ち着き、自然な柔らかさになるまでには、半年から1年程度の時間が必要です。焦らずに経過を見守りましょう。

定期検診の必要性

術後の経過を良好に保ち、万が一の合併症に早期に対応するためにも、クリニックが定める定期検診は必ず受けましょう。

特にシリコンバッグを挿入した場合は、破損などがないかを確認するために、定期的な画像検査(エコーやMRIなど)が推奨されます。

乳がん検診への影響

手術方法によっては、乳がん検診のマンモグラフィ検査に影響が出ることがあります。

手術方法と乳がん検診

手術方法マンモグラフィへの影響推奨される検診方法
乳房挙上術ほとんど影響なしマンモグラフィ、エコー
シリコンバッグ豊胸撮影が困難な場合があるエコー、MRI
脂肪注入豊胸しこりや石灰化が写ることがあるマンモグラフィ、エコー、MRI

検診を受ける際は、必ず事前に豊胸手術を受けていることを担当の技師や医師に伝えてください。

よくある質問

手術中の痛みはありますか?

手術は全身麻酔や静脈麻酔で行うため、手術中に痛みを感じることはありません。術後は、筋肉痛のような痛みが出ることがありますが、処方される鎮痛剤で十分にコントロールできます。

授乳への影響はありますか?

乳房挙上術では、乳管を温存する方法で行うため、術後の授乳機能が完全に失われることは少ないですが、影響が出る可能性はゼロではありません。

シリコンバッグ豊胸術は乳腺組織に直接触れないため、授乳への影響はほとんどないと考えられています。

将来的に妊娠・出産を希望する場合は、カウンセリングで必ず医師に伝えてください。

感覚に変化はありますか?

術後、一時的に乳頭や乳輪、皮膚の感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったりすることがあります。

多くの場合、数ヶ月から1年ほどで徐々に回復しますが、ごく稀に感覚の変化が残ることもあります。

再び垂れてしまう可能性はありますか?

手術によってバストの形を整えても、その後の加齢や体重変化、妊娠・授乳などによって、再び下垂が進行する可能性はあります。

術後の状態を長く維持するためには、サイズの合ったブラジャーを着用し、急激な体重変動を避けるなど、日々のセルフケアも大切です。

術後の状態を維持するためのポイント

項目具体的な対策
下着選び自分のサイズに合ったサポート力のあるブラジャーを着用する
体重管理急激なダイエットや体重増加を避ける
生活習慣バストの揺れを抑える、保湿ケアを心がける

以上

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