顎下脂肪吸引とボトックスを併用した症例解説
症例写真は随時挙げていますが、解説ができないのでコラムで解説して行こうと思います。
顔の全体を見てどこをどう治療をしたらより良くなるか
基本的なことですが、一つのパーツだけ見てそこを良くしても顔全体から見て似合っているのか、違和感はないのかを考えなければいけません。例えば、ほうれい線をなくしたいという悩みに対してほうれい線のみを徹底的に治療して良くなったとします。症例写真で見るパーツのみの切り取られた世界では綺麗かもしれません。しかし、普段は顔全体が見えており顔全体に対してほうれい線のみ若返っている状態が果たしてその方にとっていい治療だったと言えるのかということになります。もちろん予算の関係などもあると思うので一箇所の治療が一概にダメと言っているわけではなく、言われた通りその部分だけ治療するという行為がその医者自体が全体を見れていないのか、気になってないのかどちらなんだろうと思うのです。
まずは術前を見てみましょう。
顎下のもたつきが気になるということでした。頬も吸引適応があるかといった感じです。実際に触診してみると皮膚が柔らかく、頬は口横の部分くらいでそれ以外に脂肪は少ない状態でした。正面の写真で見るとエラの部分がグッと張り出しているのがわかるかと思います。吸引では輪郭はさほど変化はでず、口横のスッキリ感は出ると思います。その変化が希望されるなら頬も吸引でいいと思います。輪郭をスッキリさせたい場合はエラボトックスで張り出している咬筋を減らす方が変化が出ます。今回は輪郭の方をスッキリさせたいということなのでエラボトックスをすることにしました。顎下はたるみもないので吸引することでしっかり変化が出そうです。
頬の吸引を行うかどうかは悩みどころです。無闇にとってもいいことはないので理想とする仕上がりを聞いて判断するのが良いと思っています。このケースであればテスリフトで引き上げて引き締めるというのもいい変化と仕上がりになると考えます。後日テスリフトを3本ずつ挿入しています。
では、顎下の吸引とエラボトックスでいいのでしょうか?術後を見てみましょう。
術後1ヶ月後です。術前と比べてフェイスラインがシュッとしただけではなく印象が変わったと思いませんか?これは顎下の吸引とエラボトックスの効果だけではないのです。それだけではもう少し完成度、満足度が下がってしまうでしょう。何をしたか、どこが変わったかわかりますか?
それは顎です。術前は顎先に緊張が見られており梅干皺が出ている状態になっています。これは普段無意識にこうなっている方案外多いです。不機嫌に見られるなど少しマイナスなイメージを与えてしまうこともありますし、顎先の緊張で本来の形が隠されてしまいます。ボトックスで顎の筋肉の緊張を緩めることで本来の顎先の形が出てフェイスラインが出て、表情もどこか柔らかい印象になり完成します。
これがお顔全体を見て綺麗に可愛くなっていただくということです。
エラがなくなり正面もスッキリとした印象になっています。少し頬のコケがで始めたので2回目以降のエラボトックスは一旦見送った方が良いパターンです。また張ってきてボリュームがついた時に行うのが良いでしょう。このまま続けているとよりコケが目立つので経過を見て追加する時期は決めていきます。
もし脂肪吸引を同時にしていた場合はここのコケだけがさらに目立った可能性があります。頬は脂肪も少なかったため一旦見送って後日糸リフトの方が良さそうだなというのはこういったこともあるからです。また一気に完成を目指すのではなく経過を見て変化とバランスを見て完成させていく方が安全ではあります。ダウンタイムを一気に終わらせたい、一回で完成させてい気持ちはわかりますが、仕上がり重視するのであれば経過を見ながら全体のバランスに合わせて治療を行っていくという方が良いと思っています。
最後に比較したものを並べます
比較で並べてみると柔らかくフェイスラインもスッキリした印象に変化しているのがお分かりいただけると思います。顎下の吸引のみ行う、頬と顎下セットで行うのみではこの変化は出ません。顎下の吸引とボトックス、さらに全体を見て筋肉の緊張をとるようにボトックスをすることでその人も持つ魅力を最大限引き出すことができます。脂肪吸引・注入専門クリニックだからこそ、吸引のみで力技のみで押し切るのではなくて、吸引の威力を最大限発揮できるようにその他の方法も駆使して併せていくのが本当の吸引専門クリニックではないのかなと思っています。ただ吸引するだけはもう古いです。
ではまた。