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豊胸手術をやめた方がいい方の理由とリスク – 医師からの見解

豊胸手術をやめた方がいい方の理由とリスク - 医師からの見解

豊胸手術を検討する際、多くの方が理想のバストを手に入れることへの期待に胸を膨らませます。

しかし、その一方で「本当に手術を受けても大丈夫だろうか」「豊胸手術をやめた方がいいケースもあるのでは?」といった不安や疑問を感じるのも自然なことです。

この記事では、医師の視点から、豊胸手術を一旦立ち止まって考えるべき方の特徴や、手術に伴う具体的なリスクについて詳しく解説します。

ご自身の健康状態やライフプラン、そして何よりも「なぜ豊胸したいのか」という動機と向き合い、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。

目次

豊胸手術を慎重に考えるべき方の特徴

豊胸手術は、誰にでも適応となるわけではありません。特定の健康状態や精神状態、ライフスタイルによっては、手術を見送る方が賢明な場合があります。

ご自身が当てはまるかどうか、客観的に確認することが大切です。

健康上の理由で手術が推奨されない方

まず、身体的な健康状態が手術の可否を判断する上で最も重要な基準となります。全身麻酔や外科的な処置は、身体に一定の負担をかけます。

そのため、以下のような健康上の懸念がある方は、手術のリスクが通常よりも高くなる可能性があります。

特定の持病やアレルギーがある

自己免疫疾患、重度の心疾患や腎疾患、コントロール不良の糖尿病、血液凝固異常などの持病がある場合、手術による身体への負担が大きく、術後の回復にも影響を及ぼす可能性があります。

また、麻酔薬や使用する薬剤、インプラントの素材に対するアレルギーも、深刻な事態を招く恐れがあるため、事前の申告と検査が重要です。

手術が困難になる可能性のある持病

疾患カテゴリー具体的な疾患例考えられるリスク
自己免疫疾患関節リウマチ、全身性エリテマトーデス創傷治癒の遅延、感染症リスクの増大
循環器系疾患重度の心不全、コントロール不良の高血圧麻酔や手術中の心臓への負担増
血液疾患血友病、抗凝固薬服用中術中・術後の出血リスク増大

精神面・心理的な理由で再考が必要な方

身体の健康と同様に、心の健康も非常に重要です。精神的に不安定な状態で大きな決断をすると、後悔につながりやすくなります。

手術を受ける目的が、自分自身の満足のためか、それとも他者からの評価を過度に気にしているためか、冷静に考える時間が必要です。

非現実的な期待を抱いている

「手術を受ければ人生がすべて変わる」「コンプレックスが完全に消える」といった過度な期待は、現実とのギャップを生み、結果的に満足度を低下させる原因となります。

豊胸手術はあくまで外見を整える一つの手段であり、内面的な問題の根本的な解決策ではないことを理解する必要があります。

周囲の意見に流されている

パートナーや友人、あるいはSNSなどの情報に影響され、「誰かに言われたから」という理由で手術を決断するのは危険です。手術を受けるのはご自身の身体です。

最終的な決定は、他人の意見ではなく、ご自身の確固たる意志に基づいて行うべきです。もし少しでも迷いがあるなら、一度立ち止まる勇気を持ちましょう。

ライフプランとの兼ね合い

現在の状況だけでなく、将来のライフプランも考慮に入れることが、長期的な満足につながります。特に妊娠や出産、授乳は、バストの状態に大きな影響を与えます。

妊娠・出産・授乳の予定がある

近い将来に妊娠や出産を計画している場合、手術のタイミングは慎重に検討する必要があります。妊娠・授乳期には乳腺が発達し、バストのサイズや形が大きく変化します。

手術後にこれらの変化が起こると、せっかく整えた形が崩れてしまう可能性があります。また、手術方法によっては授乳機能に影響が出る可能性もゼロではありません。

多くのクリニックでは、授乳終了後、バストの状態が安定してから手術を推奨しています。

将来のメンテナンスを考慮できているか

特にシリコンバッグを用いた豊胸手術の場合、バッグの破損や被膜拘縮などの理由で、将来的に入れ替えや抜去といった再手術が必要になる可能性があります。

手術は一度きりで終わりではなく、長期的な視点でのメンテナンスや、それに伴う費用、身体的負担も受け入れる覚悟が必要です。

豊胸手術の主な種類とそれぞれのリスク

豊胸手術にはいくつかの方法があり、それぞれにメリットとデメリット、そして特有のリスクが存在します。

どの方法が自分に合っているかを考える以前に、まずはそれぞれのリスクを正しく理解することが重要です。

シリコンバッグ豊胸のリスク

シリコンジェルが充填されたバッグを乳腺下や大胸筋下に挿入する方法です。大幅なサイズアップが可能ですが、身体にとっては異物であるため、特有の合併症が起こり得ます。

主な合併症と内容

合併症内容対処法
被膜拘縮(カプセル拘縮)バッグの周りにできる膜が厚く硬くなる。バストが硬くなったり変形したりする。内服薬、マッサージ、重度の場合は再手術。
バッグの破損・漏出強い衝撃や経年劣化でバッグが破損し、内容物が漏れ出す可能性がある。バッグの抜去・入れ替え手術が必要。
リップリング皮膚の上からバッグの縁やシワが波打つように触れる、または見える状態。脂肪注入の併用やバッグの入れ替え。

脂肪注入豊胸のリスク

ご自身の太ももやお腹などから吸引した脂肪を、バストに注入する方法です。自然な仕上がりと感触が魅力ですが、脂肪の定着率やしこりのリスクを考慮する必要があります。

脂肪の定着としこりの問題

注入した脂肪がすべて生着するわけではなく、一部は吸収されます。また、壊死した脂肪細胞や注入されたオイルが原因で、しこり(脂肪壊死、オイルシスト)ができることがあります。

これらのしこりの多くは良性ですが、乳がん検診の際に区別がつきにくい場合があるため、検診を受ける際は必ず豊胸手術の経験を申告する必要があります。

脂肪注入のリスクと対策

リスク内容クリニックで確認すべき対策
しこり(石灰化)注入した脂肪の一部が壊死し、硬くなる。脂肪の質を高める処理技術、少量ずつ多層に注入する技術。
定着率の低さ期待したほどサイズアップしない、左右差が出る。定着率を高めるための工夫(例:CRF、コンデンスリッチなど)。
感染症脂肪吸引部や注入部から細菌が侵入する。徹底した衛生管理、適切な抗生剤の処方。

ヒアルロン酸注入のリスク

注射でヒアルロン酸を注入する手軽な方法ですが、持続期間が短く、繰り返し施術が必要です。また、医学的な観点から多くの専門家が警鐘を鳴らしている方法でもあります。

しこりや感染症のリスク

ヒアルロン酸は体内に吸収されるものですが、注入量や部位によっては、しこりとして残ってしまうことがあります。また、注射による施術とはいえ感染症のリスクはゼロではありません。

特に、乳腺組織内に注入されたヒアルロン酸が乳腺炎の原因となったり、乳がん検診の妨げになったりする問題点が指摘されています。

手術後のダウンタイムと生活への影響

手術を受けたと仮定して、その後の生活がどうなるかを具体的にイメージすることも、後悔しないためには大切です。

ダウンタイム中の痛みや行動制限は、想像以上に心身の負担となることがあります。

痛みや腫れの期間

手術後の痛みや腫れ、内出血の程度や期間は、手術方法や個人差によって大きく異なります。特に大胸筋下にシリコンバッグを挿入した場合、筋肉を剥がすため、術後の痛みが強く出る傾向があります。

手術方法別のダウンタイム目安

手術方法痛みのピーク社会復帰の目安
シリコンバッグ(大胸筋下法)術後2~3日デスクワークで7~10日程度
脂肪注入術後1~3日(吸引部も痛む)デスクワークで5~7日程度
ヒアルロン酸注入術後1~2日翌日~数日

日常生活における制限

術後しばらくは、日常生活においても様々な制限が伴います。腕を上げる動作や重いものを持つこと、うつ伏せで寝ることなどが難しくなります。

仕事内容によっては、長期の休暇を取得する必要があります。

術後の主な行動制限

  • 車の運転(術後1週間程度は控える)
  • 飲酒・喫煙(血行を促進し、腫れや内出血を悪化させる)
  • 激しい運動や筋力トレーニング(術後1ヶ月以上控える)
  • 入浴(シャワーは可能でも、湯船に浸かるのは抜糸後など)

傷跡の問題

どのような手術であっても、切開を伴う場合は必ず傷跡が残ります。傷跡の場所や大きさは手術方法によって異なりますが、体質によってはケロイド状に盛り上がってしまう可能性もあります。

傷跡が完全に目立たなくなるまでには、数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。

費用面と長期的なコストを考える

豊胸手術は自由診療のため、高額な費用がかかります。初期費用だけでなく、将来的に発生する可能性のあるメンテナンス費用まで含めて、総合的な資金計画を立てることが重要です。

手術費用の内訳

提示される費用には、何が含まれているのかを詳細に確認する必要があります。手術代の他に、麻酔代、検査代、薬代、術後の検診代などが別途必要になる場合があります。

費用に含まれる項目と別途費用の例

一般的に含まれることが多い費用別途必要になる可能性がある費用
カウンセリング料(初回無料の場合も)術前血液検査料
手術代(バッグ代、脂肪吸引・注入技術料)術後の圧迫着代
麻酔代追加の薬代(痛み止めなど)

再手術やメンテナンスの費用

シリコンバッグの場合、10~15年を目安に状態をチェックし、必要であれば入れ替えを検討します。脂肪注入の場合でも、形の変化やサイズの減少が気になれば、追加注入を考えるかもしれません。

これらの将来的な費用も、あらかじめ念頭に置いておくべきです。

安さだけでクリニックを選ばない

広告などで極端に安い費用を提示しているクリニックには注意が必要です。必要な処置やアフターケアが省略されていたり、経験の浅い医師が担当したりするケースも考えられます。

費用は重要な判断材料ですが、安全性や信頼性を最優先に考えるべきです。

豊胸手術以外の選択肢

手術に踏み切る前に、他の方法で理想に近づくことはできないか、一度検討してみる価値はあります。手術以外の方法で満足できるのであれば、それに越したことはありません。

補正下着やファッションの工夫

自分に合ったブラジャーを選ぶだけで、バストの形は驚くほどきれいに見えます。

パッドを活用したり、デコルテが美しく見えるデザインの服を選んだりすることで、手術をしなくても自信を持つことができるかもしれません。

バストを支える筋力トレーニング

バストそのものは脂肪と乳腺でできているため、トレーニングで大きくすることはできません。

しかし、バストの土台となる大胸筋を鍛えることで、バスト全体をリフトアップさせ、形を整える効果が期待できます。

大胸筋を鍛えるトレーニング例

トレーニング名方法ポイント
プッシュアップ(腕立て伏せ)膝をついた状態から始め、胸を床に近づけるように腕を曲げ伸ばしする。肩甲骨を寄せる意識で行う。
パームプレス胸の前で両手のひらを合わせ、強く押し合う。10秒キープを繰り返す。胸の筋肉に力が入っていることを意識する。

食生活や生活習慣の見直し

バランスの取れた食事や質の良い睡眠は、女性ホルモンのバランスを整え、健康的な身体づくりにつながります。

特定の食品だけでバストが劇的に大きくなることはありませんが、美しい肌やハリを保つためには、日々の生活習慣が大切です。

美しいバストのための栄養素

栄養素期待できる働き多く含まれる食品
タンパク質筋肉や皮膚の材料となる。肉、魚、大豆製品、卵
イソフラボン女性ホルモンに似た働きをする。納豆、豆腐、豆乳
ビタミンE血行を促進する。ナッツ類、アボカド、かぼちゃ

信頼できるクリニック・医師の選び方

もし、さまざまなリスクや注意点を理解した上で、やはり手術を受けたいと決意した場合、最後の関門は「どこで、誰に」手術を任せるかです。

この選択が、結果を大きく左右します。

専門性と経験を確認する

美容外科医の中でも、乳房に関する手術を専門とし、豊富な経験を持つ医師を選ぶことが重要です。形成外科の専門医資格を持っているかどうかも、一つの判断基準になります。

カウンセリングの質を重視する

良いクリニックは、カウンセリングに十分な時間をかけ、患者の希望を聞くだけでなく、リスクやデメリット、できないことについてもしっかりと説明します。

質問しやすい雰囲気か、医師が親身になって相談に乗ってくれるかを見極めましょう。

カウンセリングでの確認事項

  • 考えられるすべてのリスクと合併症の説明
  • 手術方法ごとのメリット・デメリット
  • 執刀医の経歴と症例数
  • 麻酔科医の常駐の有無
  • アフターケアと保証制度の詳細

アフターケアと緊急時対応

手術後の定期的な検診や、万が一トラブルが起きた際の対応体制が整っているかを確認することは非常に重要です。

24時間連絡が取れる体制や、保証制度の内容を具体的に書面で確認しておくと安心です。

豊胸手術に関するよくある質問(Q&A)

最後に、豊胸手術を検討する方からよく寄せられる質問とその回答をまとめます。

痛みはどのくらい続きますか?

痛みのピークは手術方法にもよりますが、術後2~3日であることが多いです。その後、1~2週間かけて徐々に和らいでいきます。

処方される痛み止めでコントロールできる場合がほとんどですが、痛みの感じ方には個人差があります。特に大胸筋を操作する手術では、筋肉痛に似た痛みが長引くことがあります。

仕事はいつから復帰できますか?

デスクワークなど、身体的な負担が少ない仕事であれば、5日~1週間程度の休暇で復帰される方が多いです。

ただし、重いものを持ったり、腕を頻繁に動かしたりする仕事の場合は、2週間~1ヶ月程度の安静期間を見る必要があります。

具体的な復帰時期については、仕事内容を医師に伝え、相談することが大切です。

授乳に影響はありますか?

多くの手術方法では、乳腺組織を直接傷つけないように配慮するため、授乳機能への影響は少ないとされています。

特に、大胸筋下法によるシリコンバッグ豊胸や、脂肪注入は影響が出にくい方法です。

しかし、乳輪周囲を切開する方法などでは、乳管を損傷する可能性がゼロではありません。

将来の授乳を強く希望する場合は、その旨を必ず医師に伝え、リスクが最も低い方法を選択する必要があります。

将来、バッグの入れ替えは必ず必要ですか?

シリコンバッグは非常に丈夫な医療機器ですが、永久的なものではありません。

破損や被膜拘縮などの問題がなければ、必ずしも入れ替えが必要というわけではありませんが、10年を超えたあたりから、定期的に検診を受け、バッグの状態を確認することが推奨されます。

身体に問題が起きていなくても、形の変化などが気になり、ご自身の希望で入れ替えや抜去を選択する方もいます。

以上

参考文献

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