顔の脂肪注入のデメリットは？しこりや定着しないリスクと対策

顔の脂肪注入は、自身の組織を用いて自然な若返りや立体感のある輪郭形成を目指せる優れた方法ですが、外科的な処置である以上、必ずリスクやデメリットが存在します。

「しこりができて凸凹になった」「思ったよりも定着せず脂肪が吸収されてしまった」といった失敗を避けるには、良い面だけでなく負の側面を正しく理解しておくことが重要です。

この記事では、顔の脂肪注入における具体的なデメリットやリスクの正体、そしてそれらを回避するための実践的な対策について解説します。

顔の脂肪注入に潜む基本的なリスクとデメリットの全体像

顔の脂肪注入には、採取部位と注入部位の両方にダウンタイムが生じる点や、定着率の予測が難しく仕上がりに個人差が出やすいという根本的なリスクがあります。

自分の体から採取した脂肪を顔に移植する脂肪注入は、異物を入れるヒアルロン酸注入などに比べてアレルギー反応のリスクが極めて低いという大きな利点がありますが、自分の細胞だからといって100％安全でトラブルが起きないわけではありません。

外科手術である以上、侵襲を伴いますし、生きた細胞を扱う難しさもあります。

単なる「注射」ではなく「組織移植」であるという認識を持つことが、リスク管理の第一歩です。

外科手術としての身体的負担と侵襲性

脂肪注入を受ける際、多くの人が顔の仕上がりにばかり注目しがちですが、実は脂肪を採取する部位（ドナー部）への負担も無視できません。

太ももや腹部からカニューレという管を使って脂肪を吸引するため、採取部位には筋肉痛のような痛みや内出血、拘縮（皮膚が硬くなる現象）が生じます。

顔への注入は針穴程度の傷で済みますが、脂肪を採取する箇所には数ミリの切開が必要です。

つまり、顔と体の2箇所にダウンタイムが発生するという点が、ヒアルロン酸注入などのフィラー治療とは大きく異なるデメリットです。

体が回復するまでの期間、日常生活にどのような制限が出るかを事前にシミュレーションしておくことが求められます。

仕上がりが医師の技術と注入量に左右される難しさ

顔の脂肪注入において最も難しいのは「予測」です。注入した脂肪のすべてがそのまま残るわけではなく、一定の割合は体内に吸収されてなくなります。

この吸収される分を見越して少し多めに注入するのか、あるいは足りなければ2回目を行う前提で控えめに入れるのか、この判断は医師の経験則に委ねられます。

経験の浅い医師が担当すると、吸収されすぎて効果を感じられなかったり、逆に入れすぎてパンパンに膨らんだ不自然な顔立ち（オーバーフィル）になったりするリスクがあります。

修正が難しい施術だからこそ、最初のアプローチが非常に重要になります。

ヒアルロン酸のように溶解注射で簡単に溶かしてリセットすることができないため、「入れすぎ」は「入れなさすぎ」よりも深刻な問題を引き起こします。

加齢変化に伴う将来的な変化の予測不可能性

移植して定着した脂肪は、その場所で「生きた細胞」として活動を続けます。

これは長期間効果が持続するというメリットである反面、体が太れば顔の脂肪も膨らみ、痩せれば顔の脂肪も減るということを意味します。

また、加齢とともに皮膚がたるんでくると、かつて注入した脂肪が重みとなって下垂を助長する可能性もゼロではありません。

人工物であれば経年劣化以外の変化は少ないですが、自己組織は自分自身の老化や体型変化と運命を共にします。

数年後、数十年後の自分の顔がどう変化していくかまで見越したデザインが必要であり、その場の見た目だけを整える安易な注入は、将来的なデメリットにつながる恐れがあります。

しこり（石灰化）やオイルシストが発生する原因とメカニズム

しこりや石灰化は、一度に多量の脂肪を一箇所に注入することで中心部の細胞が壊死し、体がそれを異物として処理しようとする防御反応によって発生します。

肌の表面が凸凹したり、触ると硬い異物感があったりする状態は、見た目にも精神的にも大きなストレスとなります。

なぜ柔らかい脂肪を注入したはずなのに硬いしこりになってしまうのか、その原因を深く掘り下げて解説します。

これは単なる運の悪さではなく、注入技術や処理方法に大きく依存する物理的な現象です。

しこりの種類と特徴

種類	特徴	主な原因
石灰化（しこり）	硬く触れる塊。放置すると石のように硬化することもある。	壊死した脂肪細胞の周りにカルシウムが付着する。
オイルシスト（嚢胞）	内部に液状のオイルが溜まった袋状のしこり。	壊死した脂肪から漏れ出した油分が被膜で覆われる。
線維化	組織が瘢痕化して硬くなる現象。	過度な注入や組織へのダメージによる修復反応。

脂肪細胞の壊死（ネクロシス）が引き起こすトラブル

注入された脂肪細胞が生き残るためには、周囲の組織から酸素や栄養を受け取る必要があります。

しかし、一度に大量の脂肪を同じ場所に固めて注入してしまうと、塊の中心部にある脂肪細胞まで酸素が行き渡りません。

その結果、中心部の細胞が窒息して死んでしまいます（壊死）。

体はこの死んだ細胞を異物として認識し、排除しようとする免疫反応を起こしたり、隔離しようとして周りをカプセルで囲んだりします。

これがしこりや石灰化の正体です。

つまり、しこりは「欲張って一度にたくさん入れすぎた」ことや「細かく分散して注入しなかった」ことへの代償として発生する場合が多いのです。

不純物が混入したまま注入することの危険性

採取したばかりの脂肪には、脂肪細胞だけでなく、麻酔液、血液、壊れた細胞の膜、老化細胞などの不純物が多く含まれています。

これらを適切に取り除かずにそのまま注入すると、不純物が炎症の原因となり、しこりの発生リスクを高めます。

特に血液成分や老廃油（フリーオイル）は、正常な脂肪細胞の定着を阻害する大きな要因です。

近年では、遠心分離機や特殊なフィルターを用いてこれらの不純物を徹底的に除去する技術（コンデンスリッチファットなど）が普及していますが、依然として精製が不十分なまま注入を行うケースもないわけではありません。

精製度の低い脂肪注入は、デメリットが発生する確率を格段に上げてしまいます。

しこりができてしまった場合の対処法と難易度

万が一しこりができてしまった場合、その治療は容易ではありません。

小さなものであればステロイド注射（ケナコルトなど）で組織を萎縮させて目立たなくできることもありますが、大きな石灰化やオイルシストの場合は、手術で切開して摘出しなければならないこともあります。

顔にメスを入れることになるため、傷跡のリスクも生じます。また、吸引管で吸い出そうとしても、硬くなった組織はうまく吸引できないことが多いです。

「失敗したら溶かせばいい」という考えは脂肪注入には通用しません。

だからこそ、しこりを作らないための「予防」すなわち「適切なクリニック選びと医師の技術」が何よりも重要になります。

脂肪が定着しない・すぐに吸収されるリスクの真実

脂肪の定着率は通常50％から70％程度ですが、喫煙や極度なダイエット、注入部位の筋肉の動きなどにより、想定よりも多くの脂肪が吸収されてしまうリスクがあります。

「せっかく痛い思いをして手術を受けたのに、数ヶ月経ったら元に戻ってしまった」という声も、脂肪注入のデメリットとしてよく耳にします。

なぜ定着率にこれほどの差が出るのか、そして定着しないリスクをどう捉えるべきかについて詳述します。

定着率を左右する生物学的な要因

移植された脂肪細胞が新しい場所で生き残るには、新しい血管（新生血管）が脂肪細胞の周りに伸びてきて、血流が再開することが必須条件です。

この血管新生が間に合わなければ、脂肪細胞は栄養失調で死滅し、体内に吸収されて排出されます。

喫煙習慣がある人は血管が収縮し血流が悪いため、定着率が著しく下がる傾向にあります。

また、極端に痩せ型で基礎代謝が高い人や、術後に急激なダイエットをした場合も、移植した脂肪がエネルギーとして燃焼されてしまい、定着しにくくなります。

患者自身の体質や生活習慣が、結果を大きく左右する不確定要素となるのです。

注入部位による定着率の違いと動く場所のリスク

顔の中でも、脂肪が定着しやすい場所としにくい場所があります。

一般的に、あまり動かない場所（額やこめかみなど）は定着が良いとされていますが、よく動く場所（口周りやほうれい線）は定着率が低くなる傾向があります。

筋肉の動きによって移植された脂肪が常に揺さぶられ、血管が新生するプロセスが妨げられるためです。

ほうれい線への脂肪注入を行っても、期待したほど浅くならないことがあるのはこのためです。部位ごとの特性を無視して一律な期待を持つと、結果に失望することになりかねません。

医師はこれらの部位差を計算に入れて注入量を調整しますが、完全にコントロールすることは不可能です。

定着しすぎることによる「膨らみすぎ」のリスク

定着しないことの逆で、予想以上に脂肪が定着してしまい「顔がパンパンになる」というデメリットもあります。

特に額や頬において、医師が吸収される分を見越して多めに入れた結果、意外にも多くが生き残り、不自然に膨らんでしまうケースです。

これを修正するには脂肪溶解注射や脂肪吸引が必要になりますが、一度定着した脂肪は周囲の組織と馴染んでいるため、均一に減らすのは至難の業です。

定着率は「高ければ高いほど良い」という単純なものではなく、「適量が計算通りに残る」ことが理想であり、そのコントロールの難しさがこの施術の大きな課題と言えます。

脂肪の加工方法による定着率の比較

加工方法	概要	期待される効果
通常の脂肪注入	重力で分離させた脂肪を使用。	不純物が多く、定着率は低め（30-40%程度）。しこりリスクあり。
遠心分離法	遠心分離機で水分や油分を除去。	脂肪密度が高まり、定着率が向上（50-60%程度）。
コンデンスリッチ	特殊な加重遠心分離を行う（CRF）。	不純物を徹底除去し、健全な細胞を濃縮。定着率は高い（70-80%）。
幹細胞付加法	培養した幹細胞を添加して注入。	血管新生を強力に促し、定着率を最大化させるが費用は高額。

術後のダウンタイム：腫れや内出血の現実的な期間

術後の腫れや内出血は避けて通れず、大きな腫れは1〜2週間続き、完全に馴染んで完成するまでには3ヶ月から半年程度の期間を要します。

「ダウンタイムが短い」と謳われることもありますが、脂肪注入は顔の印象を物理的に変える手術ですので、相応のダウンタイムが発生します。

仕事や学校、家族へのカミングアウトなど、社会生活を送る上で避けて通れない腫れや内出血について、楽観視せずに現実的なラインを知っておく必要があります。

メディアで見かける「翌日からメイク可能」という言葉の裏にある実情をお伝えします。

腫れのピークと落ち着くまでの期間

術後の腫れは、手術当日の夜から翌日、翌々日にかけてピークを迎えます。

特に額や目の周りに注入した場合、重力で腫れが下がってくるため、目が開きにくくなったり、別人のような顔立ちになったりすることがあります。

マスクや帽子で隠せる範囲なら良いのですが、全顔への注入を行った場合は隠しきれないこともあります。

大きな腫れは1週間から2週間程度で引いていきますが、完全に馴染んで完成形になるまでには3ヶ月から半年かかると言われています。

大切なイベント（結婚式や同窓会など）の直前に手術を受けることは避けるべきです。

内出血（あざ）の出現と色の変化

注入針が毛細血管に触れると内出血が起こり、皮膚が青紫や黄色に変色します。メイク（コンシーラー）で隠せる程度の場合もあれば、ファンデーションでは隠しきれないほど濃く出る場合もあります。

内出血は通常2週間程度で消失しますが、その間は周囲に「どうしたの？」と聞かれるリスクがあります。

また、顔だけでなく脂肪を採取した太ももや腹部にも広範囲に内出血が出ます。夏場など露出の多い時期に手術を受けると、着る服に制限が出ることも考慮しなければなりません。

見えない部分のダウンタイムも生活の質（QOL）に影響を与えます。

痛みと感覚異常について

術後の痛みに関しては、顔よりも脂肪を採取した部位の方が強い傾向にあります。

太ももであれば、強い筋肉痛のような痛みがあり、歩行や階段の昇り降りが数日間辛く感じることがあります。トイレの便座に座る動作が億劫になるという声も多く聞かれます。

顔に関しては、ジンジンとした痛みや、触った時の感覚が鈍くなる知覚異常が一時的に起こることがあります。

神経の修復とともに数ヶ月かけて戻ることがほとんどですが、一時的にせよ顔の感覚がおかしいというのは不安材料の一つになります。

部位別にみる特有のデメリットと失敗例

注入部位によってリスクは異なり、額では凹凸や神経損傷、目の下では膨らみすぎ、頬では顔が大きく見えるといった特有の失敗パターンが存在します。

顔といっても、皮膚の厚さ、筋肉の動き、骨格の形状は部位によって全く異なります。したがって、リスクやデメリットも注入する場所によって特徴が分かれます。

ここでは主要な注入部位ごとに、よくある失敗や特有の悩みについて解説します。自分の希望する部位のリスクを重点的に確認してください。

額（おでこ）への注入リスク

額は広く平らな面であるため、注入の不均一さが「凸凹」として目立ちやすい部位です。技術的に滑らかに注入するのが難しく、波打ったような仕上がりになるリスクがあります。

また、額には太い血管や神経が通っており、万が一血管内に脂肪が入ると皮膚壊死や、最悪の場合は失明といった重篤な合併症を引き起こすリスクが、他の部位に比べてわずかに高いとされています。

さらに、定着しすぎて「コブダイ」のように額が前に突き出し、鼻とのバランスが悪くなるケースも見受けられます。

横顔のラインを美しくするはずが、不自然な造形になってしまう危険性があります。

目の下への注入リスク

目の下の皮膚は人体の中で最も薄い部分の一つです。そのため、わずかなしこりや凹凸が皮膚表面に透けて見えてしまいます。

特に、目の下のくぼみやクマを解消しようとして脂肪を入れすぎると、逆に目袋のように膨らんでしまい、余計に老けて見えることがあります。

また、脂肪を入れることで涙袋が埋もれてしまい、目が小さく見えてしまうこともあります。

目の下は非常に繊細な調整が求められる部位であり、「とりあえず入れておけば若返る」という単純なものではありません。

チンダル現象（青白く透ける現象）は起きにくいですが、色味の左右差などが気になることもあります。

頬（コケ・ゴルゴライン）への注入リスク

頬への注入は、こけた頬をふっくらさせて若々しく見せる効果が高いですが、リスクは「顔が大きく見える」ことです。

頬骨の高い位置に脂肪が入りすぎると、顔の横幅が広がったように見えたり、アンパンマンのような丸顔になったりします。

また、ゴルゴラインを消そうとして浅い層に注入しすぎると、笑った時にその部分だけがミミズ腫れのように浮き上がって見えることがあります。

表情を作った時の筋肉の動きに合わせて脂肪がどう動くかを計算しないと、無表情の時は綺麗でも、笑うと不自然という事態に陥ります。

感染症や塞栓症：稀だが重大な合併症

確率は低いものの、細菌感染による化膿や、誤って血管内に脂肪が入ることによる皮膚壊死・失明といった、治療が必要な重篤な合併症のリスクもゼロではありません。

これらは美容的な失敗（見た目の問題）を超えて、健康被害に関わる問題です。クリニックの衛生管理体制や緊急時の対応能力が問われる部分でもあります。

重大なリスクとその症状

合併症	症状	対応
感染症（化膿）	強い赤み、熱感、増大する痛み、排膿。	抗生剤投与、洗浄、ドレナージ処置が必要。
脂肪塞栓	皮膚の変色（白や黒）、激痛、視力障害。	直ちに溶解治療や高圧酸素療法などの救急処置が必要。
感覚神経麻痺	長期続く痺れ、感覚脱失。	ビタミン剤内服などで経過観察。回復に数ヶ月～年単位。

徹底した衛生管理が必要な理由

脂肪注入は、脂肪を採取し、加工し、再注入するという工程の中で、脂肪が外気に触れる時間が存在します。

この間に細菌が混入すると、注入部位で感染を引き起こし、膿が溜まったり組織が壊死したりする原因になります。

これを防ぐためには、空気に触れないクローズドシステムを採用しているか、手術室の清潔度が保たれているかが重要です。

格安のクリニックなどで衛生管理が杜撰な場合、感染リスクは跳ね上がります。

一度感染すると、せっかく入れた脂肪をすべて洗い流さなければならず、傷跡も汚くなるため、衛生管理は結果を左右する土台と言えます。

血管塞栓による皮膚壊死と失明

最も恐ろしいリスクが血管塞栓です。注入針が血管を突き破り、脂肪の粒子が血管内に入り込んで血流を止めてしまう事故です。

皮膚への血流が止まれば皮膚壊死を起こし、目の動脈に流れ込めば失明に至ります。

これを防ぐために、医師はカニューレ（先端が丸い針）を使用したり、少しずつ注入したり、逆血確認（血管に入っていないか確認する作業）を行ったりします。

解剖学を熟知した医師であればこのリスクは限りなくゼロに近づけられますが、知識不足の医師による施術では事故の可能性が否定できません。

デメリットを最小限に抑えるための対策とクリニック選び

リスクを最小限にするためには、経験豊富な専門医を選び、分散注入などの適切な技術を確認した上で、無理な注入量を避けて段階的に仕上げることが重要です。

ここまで多くのデメリットを挙げてきましたが、これらは適切な対策を行うことで回避したり、リスクを大幅に下げたりすることが可能です。

脂肪注入は成功すれば非常に満足度の高い施術です。

後悔しないために、患者側ができる対策と、クリニック選びの基準について解説します。

医師の経験と専門性を重視する

脂肪注入の成否は、機械の性能以上に医師の腕にかかっています。「どの層に」「どのくらいの粒子で」「どのくらいの量を」注入するかは、医師の手先の感覚とセンスに依存します。

形成外科専門医の資格を持っているか、脂肪注入の症例数は豊富か、過去の失敗例やリスクについてもカウンセリングで正直に話してくれるかを確認しましょう。

SNSのキラキラした成功事例だけでなく、修正手術を行っているかどうかも技術力を測る一つの指標になります。

分散注入（マルチレイヤー注入）を行っているか確認する

しこりを防ぎ、定着率を高めるための標準的な技術として「分散注入」があります。

これは、脂肪を一つの塊として入れるのではなく、皮膚の下の深い層、中間の層、浅い層など、複数の層にミルフィーユのように少しずつ重ねて注入する技法です。

また、一箇所から入れるのではなく、複数の方向からアプローチして網の目のように脂肪を配置することも有効です。

カウンセリング時に、医師がどのような注入テクニックを用いているか質問してみると良いでしょう。

無理な注入量を要求しない

患者側が「一度で完璧にしたいからたくさん入れてほしい」と強く要望することで、医師が無理をして過量注入を行い、しこりや不自然な顔立ちの原因になることがあります。

脂肪注入は「足らなければ足す」ことはできますが、「多すぎるから減らす」ことは困難です。

1回で100点を目指すのではなく、2回に分けて完成させるくらいの余裕を持った計画を立てる方が、結果的にリスクを抑え、美しく自然な仕上がりになります。

安全マージンを取った提案をしてくれる医師は、信頼できる医師であると言えます。

リスクを避けるための要点

• カウンセリングでメリットだけでなくデメリットを詳しく説明する医師を選ぶ。
• 安さだけで選ばず、脂肪の加工技術（CRFなど）や衛生管理体制を確認する。
• ダウンタイム期間は余裕を持ってスケジュールを確保する。

脂肪注入のデメリットは？しこりや定着しないリスクと対策に関するよくある質問

顔の脂肪注入に関して、患者様から多く寄せられるダイエットの影響やしこりの経過、他施術との違いといった疑問について回答します。

ダイエットをすると注入した脂肪も減ってしまいますか？

はい、注入して定着した脂肪は、もともとあるご自身の脂肪細胞と同じ性質を持っています。そのため、手術後に極端なダイエットをして体重が大幅に減少すると、注入した部位の脂肪も痩せてボリュームが減る可能性があります。

逆に、大幅に体重が増えれば、注入部位もふっくらとする可能性があります。

手術時の体重を維持することが、仕上がりを長く保つためのポイントになります。

しこりができてしまった場合、自然に消えることはありますか？

小さな小さなしこりであれば、時間の経過とともに体が吸収して目立たなくなることもありますが、ある程度の大きさがあるしこりや石灰化してしまったものは、自然に消滅することはほとんどありません。

半年以上経過しても残っている場合は、専門医による治療（ステロイド注射や切除など）が必要になることが多いです。

気になった時点での早めの受診が大切です。

ヒアルロン酸注入と比べて脂肪注入の方が優れている点は何ですか？

最大の利点は効果の持続性です。ヒアルロン酸は半年から2年程度で吸収されてなくなりますが、脂肪注入で定着した脂肪は半永久的に残ります。

また、自分自身の組織であるため、異物反応が起きにくく、肌の質感や色味も自然に馴染みます。

さらに、脂肪に含まれる幹細胞の働きにより、皮膚のハリや質感が改善する副次的な効果（肌育効果）を感じる方もいらっしゃいます。

手術中の痛みはどの程度ですか？麻酔は使いますか？

手術は通常、静脈麻酔（眠る麻酔）と局所麻酔を併用して行いますので、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。目が覚めたら手術が終わっているという状態が一般的です。

術後の痛みについては、顔よりも脂肪を採取した足やお腹の方に筋肉痛のような痛みが出ますが、痛み止めを内服することでコントロール可能な範囲です。

痛みに弱い方は、術後の鎮痛剤の処方について事前に相談しておくと安心です。

以上