鼻翼基部への脂肪注入（貴族手術）でほうれい線を改善！効果と持続期間を解説

鏡を見るたびに小鼻の横が深く窪んでおり、実年齢よりも老けて見られることや、口元が突出して見えることに悩む方は少なくありません。

鼻翼基部への脂肪注入は、自身の組織を利用して自然にこの窪みを持ち上げ、上品で洗練された口元を形成する有効な手段です。

本記事では、貴族手術とも呼ばれるこの施術がなぜほうれい線改善に効果的なのか、ヒアルロン酸やプロテーゼとの違い、そして気になる定着率やダウンタイムについて詳しく解説します。

鼻翼基部（小鼻の付け根）が凹む原因と顔全体の印象への影響

鼻翼基部の凹みは、加齢による皮膚のたるみではなく、生まれ持った骨格の後退が主な原因です。

特にアジア人に多いこの骨格特徴は、小鼻の横に深い影を落とし、実年齢以上の老け見えや口元の突出感を強調する要因となります。

骨格の後退が作り出す深い影と老け見えの正体

鼻翼基部とは、小鼻（鼻翼）の付け根部分にある骨の土台を指します。この部分の骨格が後退している、あるいは平坦である場合、小鼻の横に深い影が落ちることになります。

この影こそが、加齢による皮膚のたるみとは無関係に発生する「骨格性のほうれい線」の正体です。

若い頃からほうれい線が目立つ方の多くは、皮膚の弾力低下ではなく、この土台の低さが主な要因となっています。

土台が低い位置にあると、その上にある皮膚や脂肪が支えを失い、重力に従って雪崩のように落ち込んでくるため、実際の年齢よりも深く刻まれたシワとして認識されてしまうのです。

口元の突出感（口ゴボ）を強調してしまう視覚的効果

鼻の付け根が低いことは、相対的に口元を前に出ているように見せる原因にもなります。

いわゆる「口ゴボ」と呼ばれる状態は、実際に歯や顎の骨が出ているケースだけでなく、鼻翼基部が陥没しているために口元が強調されているケースも多々あります。

顔を横から見た際、鼻先と顎先を結んだEライン（エステティックライン）よりも口元が出ているように見える場合、鼻翼基部を持ち上げるだけでバランスが整うことがあります。

凹んでいる部分を埋めることで、前に出ている口元との高低差を解消し、上品で洗練された横顔を作り出す効果が期待できます。

不機嫌に見られる「疲れ顔」の要因となる中顔面の陥没

中顔面が凹んでいると、顔全体が平面的でのっぺりとした印象を与えるだけでなく、常に疲れているような、あるいは不機嫌な印象を周囲に与えてしまうことがあります。

鼻翼基部の陥没は口角が下がって見える視覚効果も生み出しやすいため、表情が暗く見えがちです。

貴族手術という名称が示す通り、この部位をふっくらとさせることは、単にシワを消すだけでなく、顔立ちに立体感と気品（貴族のような余裕のある表情）をもたらすために重要です。

明るく若々しい印象を取り戻すためには、表面的な皮膚のケアだけでなく、凹みを物理的に埋めるアプローチが必要となります。

鼻翼基部の凹みが与えるネガティブな印象一覧

印象のカテゴリ	具体的な見え方	原因となる要素
年齢印象	実年齢より老けて見える	骨格の段差による深い影が、濃いほうれい線として認識されるため
口元の印象	口が突き出て見える（口ゴボ）	小鼻の付け根が低いため、相対的に口元が高く強調されるため
表情の印象	疲れている、貧相に見える	中顔面の立体感が不足し、顔全体に影が落ちて暗く見えるため

貴族手術における脂肪注入のメリットと定着の仕組み

貴族手術において脂肪注入が選ばれる最大の理由は、自家組織を使用するため異物反応のリスクがなく、一度定着すれば半永久的な効果が得られる点にあります。

移植された脂肪は周囲の組織と一体化し、自然な感触と立体感を生み出します。

自家組織ならではの安全性と異物反応のリスク回避

脂肪注入の最大の利点は、自分の体から採取した脂肪細胞を使用するため、アレルギー反応や異物反応（拒絶反応）のリスクが極めて低いことです。

シリコンプロテーゼなどの人工物を体内に入れる場合、稀に感染症や露出、位置のずれ、あるいは長期間経過後の石灰化といったトラブルが懸念されます。

しかし、脂肪注入であれば、移植された脂肪は周囲の組織と一体化し、自分の体の一部として生着します。

異物を体内に残すことに抵抗がある方や、将来的なメンテナンスのリスクを最小限に抑えたい方にとって、自家組織による施術は精神的な安心感にもつながります。

半永久的な効果と「生着」という現象の理解

ヒアルロン酸は時間の経過とともに体内に吸収され、半年から1年程度で元の状態に戻ってしまいますが、脂肪注入で定着（生着）した脂肪は半永久的にその場に留まります。

注入された脂肪細胞の全てが生き残るわけではありませんが、周囲の血管から酸素や栄養を受け取り、血流が再開した脂肪細胞は、その場所で通常の脂肪組織として機能し続けます。

一度定着すれば、何度も繰り返し注入し続ける必要がなくなり、長期的なコストパフォーマンスや通院の手間を考えると非常に優れた選択肢となります。

定着率は採取部位や精製方法、個人の体質によって異なりますが、適切な処理を行うことで高い定着率を目指すことが可能です。

肌質改善効果も期待できる幹細胞の働き

脂肪注入には、単にボリュームを補う充填剤（フィラー）としての役割だけでなく、肌そのものを若返らせる効果も期待できます。

採取・精製された脂肪には、脂肪由来幹細胞が含まれています。

この幹細胞には、新しい血管を作ったり、傷ついた組織を修復したりする働きがあり、移植された部位の皮膚にハリや潤いをもたらす可能性があります。

鼻翼基部の皮膚はほうれい線の折り目となっているため、長年の表情の癖で真皮層までダメージを受けていることが多いですが、脂肪注入によって内側から皮膚の再生を促すことで、シワの刻まれにくい強い肌質へと導く効果も副次的に得られます。

脂肪注入における定着のサイクル

期間	脂肪細胞の状態	見た目の変化
注入直後〜1週間	移植されたばかりの不安定な状態	腫れやむくみにより、完成形よりもボリュームがあるように見える
1ヶ月〜3ヶ月	血管新生と吸収の進行	生き残れなかった脂肪が吸収され、ボリュームが少し減少して落ち着く
3ヶ月以降	組織としての安定（定着）	定着した脂肪は自身の組織となり、半永久的にボリュームを維持する

ヒアルロン酸やプロテーゼと比較した際の優位性と注意点

脂肪注入は、ヒアルロン酸のような吸収による後戻りや、プロテーゼのような異物の露出リスクを避けたい場合に最も適した治療法です。

自然な仕上がりと安全性を優先する一方で、プロテーゼほどのシャープな高さ出しには限界がある点も理解しておく必要があります。

ヒアルロン酸注入との決定的な違いは持続性と質感

ヒアルロン酸注入は手軽でダウンタイムが少ない点が魅力ですが、最大のネックは「吸収される」という点です。

鼻翼基部は表情筋の動きが激しい部位であるため、比較的硬めのヒアルロン酸を使用したとしても、時間とともに移動したり吸収されたりしやすい傾向にあります。

また、ヒアルロン酸は水分を多く含むゲル状の物質であるため、大量に注入すると「ヒアル顔」と呼ばれる独特のむくんだような質感になるリスクもあります。

一方、脂肪注入は自身の組織であるため、触り心地が柔らかく自然で、表情の動きに合わせて違和感なく馴染みます。

繰り返しの施術を避けたいと考えるならば、脂肪注入が有利です。

プロテーゼ挿入との比較における自然さとリスク管理

シリコンやゴアテックスなどのプロテーゼを挿入する手術は、確実に高さを出し、その形状を維持できる点が強みです。

しかし、プロテーゼは固形物であるため、笑った時に小鼻の横に違和感を感じたり、プロテーゼの輪郭が浮き出たり、最悪の場合は口内や皮膚から露出したりするリスクがゼロではありません。

また、感染症を起こした場合は抜去が必要となります。脂肪注入はプロテーゼほどシャープで硬質な高さを出すことは難しいですが、笑った時の表情が自然で、異物が移動したり露出したりする心配がありません。

「絶対にこれだけの高さが欲しい」というミリ単位のこだわりよりも、「自然にふっくらさせたい」「異物は怖い」というニーズに対しては脂肪注入が適しています。

動脈塞栓のリスクと注入層の重要性

全ての注入治療に共通するリスクとして、血管内に注入物が入り込むことによる塞栓（血流障害）があります。

特に鼻翼基部は重要な血管が走行している危険なエリアの一つです。

ヒアルロン酸であれ脂肪であれ、誤って血管内に注入されると皮膚壊死や視力障害を引き起こす可能性があります。

しかし、脂肪注入の場合は、一般的に先が丸いカニューレという管を使用し、骨膜上などの深い層へ慎重に注入するため、鋭利な針を使用することの多いヒアルロン酸注入と比較しても、熟練した医師が行う限り安全性は確保されます。

素材の違いだけでなく、解剖学を熟知した医師による施術が必要不可欠です。

治療法別の特徴比較

比較項目	脂肪注入	ヒアルロン酸	プロテーゼ
持続期間	半永久的（定着分）	半年〜1年程度	半永久的（トラブルがない限り）
見た目・触感	非常に自然・柔らかい	入れすぎると不自然	硬さがある・輪郭が出る可能性
ダウンタイム	中程度（1〜2週間）	ほぼ無し（数日）	長め（1〜2週間以上）

高い定着率を実現するための脂肪加工技術の種類

脂肪注入の定着率を高めるためには、採取した脂肪から不純物を徹底的に除去する加工技術が不可欠です。

コンデンスリッチファット（CRF）やピュアグラフトなどの最新技術を用いることで、しこりのリスクを抑えつつ、効率的にボリュームを定着させることが可能になっています。

コンデンスリッチファット（CRF）による濃縮効果

コンデンスリッチファット（CRF）は、採取した脂肪を特殊なフィルターにかけながら遠心分離を行うことで、老化細胞、死活細胞、水分、麻酔液などの不純物を極限まで除去する方法です。

このプロセスにより、注入する脂肪の密度が高まり、単位体積あたりの健全な脂肪細胞と幹細胞の数が増加します。

結果として、従来の脂肪注入と比較して定着率が大幅に向上し、しこりや石灰化のリスクを低減させることができます。

鼻翼基部のようにしっかりとボリュームを出したい部位には、このCRFのように密度の高い脂肪が適しており、一度の施術で満足度の高い結果を得やすくなります。

マイクロナノファットによる微細なアプローチ

さらに細かく加工したマイクロナノファットやナノファットと呼ばれる技術も存在します。

これは脂肪を極限まで微細化し、クリーム状にすることで、非常に細い針での注入を可能にする技術です。

主に目の下の小じわや皮膚の薄い部分の調整に使われますが、鼻翼基部への注入においても、皮膚の浅い層へのアプローチや、表面の細かいシワを改善する目的で併用されることがあります。

ただし、ボリュームを出す力（リフトアップ力）に関しては、通常のCRFの方が優れているため、鼻翼基部の凹みを持ち上げる土台作りにはCRFを使用し、肌質の改善や微調整にナノファットを使用するなど、目的によって使い分けや混合が行われます。

ピュアグラフト等のフィルター技術の活用

遠心分離ではなく、特殊な二重フィルターを用いて不純物を濾過するピュアグラフトという方法もあります。

この方法もまた、物理的に不純物を取り除き、純度の高い脂肪を作成することを目的としています。コンデンスリッチファットと同様に、従来の単純な遠心分離法よりも高い定着率が期待できます。

どの加工方法が優れているかは、クリニックの方針や医師の経験、そして患者様の予算によって選択されますが、重要なのは「不純物を減らし、良質な細胞を高密度で注入する」という基本原理です。

カウンセリングの際は、どのような加工法を採用しているかを確認することが成功への鍵となります。

主な脂肪加工法の特性

加工名称	主な特徴	鼻翼基部への適性
コンデンスリッチ（CRF）	遠心分離と加重で不純物を除去・濃縮	ボリュームを出すのに非常に適している
ピュアグラフト	フィルター膜で濾過し洗浄する	適している（コストバランスが良い）
ナノファット	細胞を破砕し液状化（幹細胞豊富）	ボリューム出しより肌質改善・微調整向き

施術の流れとダウンタイム中の過ごし方

施術は1〜2時間程度で完了しますが、術後の腫れや内出血が完全に落ち着くまでには1〜2週間程度の期間が必要です。

定着率を高めるためには、ダウンタイム中に患部を圧迫せず、過度な冷却やダイエットを避けて安静に過ごすことが求められます。

カウンセリングから採取、注入までの一連の流れ

1. まずは医師による詳細な診察が行われます。骨格の状態を確認し、どの程度の脂肪を注入すればバランスの良い顔立ちになるかをシミュレーションします。
2. 同時に、脂肪を採取する部位（太ももの内側やお腹など）を決定します。
3. 手術当日は、局所麻酔や静脈麻酔を使用して行われます。まず採取部位から脂肪を吸引し、その後、先述した加工プロセスを経て良質な脂肪を精製します。
4. 精製された脂肪は、口角の横や鼻の穴の中など目立たない箇所からカニューレを用いて鼻翼基部へ注入されます。
5. デザインを確認しながら慎重に層を重ねて注入し、手術は終了となります。

全工程で概ね1時間から2時間程度を要します。

術後の腫れや内出血のピークと収束時期

術後には必ず腫れ（浮腫）が生じます。特に鼻翼基部は顔の中心であるため、腫れの影響で一時的に「鼻が広がった」「猿顔になった」と感じることがありますが、これは過渡期の症状であり心配ありません。

腫れのピークは術後2〜3日目で、その後1週間から2週間かけて急速に引いていきます。完全に馴染んで完成形に近づくまでには約3ヶ月を要します。

内出血が出た場合、黄色く変色して首の方へ下がっていき、2週間程度で消失します。

マスクで隠せる部位であるため、日常生活への復帰は比較的早いですが、大事な予定の直前は避けるなど、余裕を持ったスケジュール調整が必要です。

定着率を高めるための術後ケアと禁止事項

移植された脂肪が定着するかどうかは、術後の過ごし方にも大きく左右されます。

最も重要なのは「患部を圧迫しない」「冷やしすぎない」「痩せない」ことです。注入部位をマッサージしたり強く押したりすると、脂肪が移動したり壊死したりする原因となります。

また、過度な冷却は血流を悪化させ、脂肪の生着を妨げます。さらに、術後すぐにダイエットをして体重を落とすと、移植した脂肪もエネルギーとして使われてしまう可能性があります。

喫煙も末梢血管を収縮させ定着率を著しく下げるため、術前後の禁煙は強く推奨されます。

安静にし、栄養をしっかり摂ることが、美しい仕上がりへの近道です。

ダウンタイム期間の目安と状態

経過時期	主な症状と状態	生活上の注意点
手術当日〜3日目	強い腫れ、痛み、熱感、内出血	長時間の入浴や激しい運動は控える
1週間〜2週間	腫れが引き始め、黄色い内出血が残る	メイクでカバー可能、マッサージ厳禁
1ヶ月〜3ヶ月	ほぼ完成に近いが、組織内で定着が進行中	過度なダイエットや圧迫を避ける

脂肪注入による貴族手術のデメリットとリスク

脂肪注入には、顔だけでなく脂肪採取部位にもダウンタイムが生じる点や、定着率に個人差があるため追加注入が必要になる可能性があるといったデメリットが存在します。

また、技術不足によるしこりや石灰化のリスクもゼロではないため、クリニック選びが重要です。

脂肪採取部位のダメージとケアの必要性

脂肪注入を受ける場合、どうしても「脂肪を採取する」という工程が必要になります。つまり、顔の施術だけでなく、太ももやお腹など採取部位にもダウンタイムが発生します。

採取部位には筋肉痛のような痛みや内出血が生じ、1週間程度は動きにくさを感じることがあります。

また、採取した部分を綺麗に治すために、術後はガードルなどでの圧迫固定が必要になるケースが多いです。

顔だけのケアで済むヒアルロン酸注入とは異なり、身体への負担が二箇所に及ぶことは、手軽さを求める方にとってはデメリットとなり得ます。

想定よりも吸収されてしまう可能性と追加注入

脂肪の定着率には個人差があります。

一般的には注入した量の50%から80%程度が残ると言われていますが、喫煙習慣がある方や代謝が良い方、あるいは術後の安静が保てなかった場合などは、想定よりも多くの脂肪が吸収されてしまい、効果が物足りなくなる可能性があります。

吸収分を見越して少し多めに注入すること（オーバーコレクション）を行いますが、それでも定着が不十分な場合は、半年以降に2回目の注入が必要になることもあります。

一度で完璧な仕上がりを保証できるものではないという点は、生体移植ならではの不確実性として理解しておく必要があります。

しこりや石灰化のリスクと医師の技術力

一度に大量の脂肪を同じ場所に固めて注入してしまうと、中心部の脂肪まで酸素が行き渡らず、壊死してしこり（オイル嚢胞）や石灰化を引き起こすことがあります。

鼻翼基部は狭いスペースであるため、特に繊細な注入技術が求められます。

しこりや石灰化を防ぐためには、微量の脂肪を細かく分散させて層状に注入する技術（マルチプレーン法など）が必要です。

また、不純物をしっかり除去した良質な脂肪を使用することもリスク回避につながります。

万が一しこりができてしまった場合は、ステロイド注射などで治療することもありますが、技術力の高いクリニックを選ぶことでリスクは大幅に低減可能です。

主なリスク一覧

• 脂肪採取部位の筋肉痛、内出血、拘縮（硬くなること）
• 予想以上の脂肪吸収による効果不足
• 左右差や凸凹、しこりの形成
• 感染症（非常に稀だが外科手術全般に伴うリスク）

鼻翼基部脂肪注入が向いている人・向いていない人

脂肪注入は、異物を入れずに自然で半永久的な変化を求める方や、定期的なメンテナンスを避けたい方に最適な施術です。

一方で、ダウンタイムが全く取れない方や、プロテーゼのような劇的でシャープな変化を望む方には適さない場合があります。

メンテナンスフリーで根本解決を望む人

定期的な通院やメンテナンスを負担に感じる方には、脂肪注入が非常に適しています。

ヒアルロン酸のように半年ごとにクリニックへ通う必要がなく、一度定着してしまえば自分の顔の一部として一生付き合っていけるからです。

「将来のことを考えて、今のうちに土台を整えておきたい」「何度も痛い思いをするのは嫌だ」と考える方にとって、長期的な視点で見れば脂肪注入はコスト的にも精神的にも優れた選択肢となります。

異物を入れずに自然な若返りを求める人

「整形しました」という明らかな変化よりも、自然な若返りを求める方に適しています。脂肪は柔らかく、笑った時の表情筋の動きを妨げません。

プロテーゼを入れた時のように、笑うと小鼻の横に硬いものが触れる感覚や、皮膚が突っ張る感覚が苦手な方、あるいはパートナーや家族にバレたくないという方にとって、自家組織による施術は理想的です。

自分の体にある余分な脂肪を再利用するというエコな側面も、心理的なハードルを下げる要因の一つです。

逆にプロテーゼやヒアルロン酸を検討すべきケース

一方で、ダウンタイムが全く取れない方、脂肪採取の手術に抵抗がある方、あるいは非常にシャープで高さのある変化を求める方には、脂肪注入は向いていない可能性があります。

脂肪は柔らかいため、骨のような硬い高さを出すには限界があります。また、極端に痩せていて採取できる脂肪がほとんどない方も適応が難しい場合があります。

そのような場合は、ヒアルロン酸で手軽に済ませるか、プロテーゼで確実な高さを出す方が満足度は高くなるでしょう。

自分の優先順位が「自然さ」なのか「変化量」なのか「手軽さ」なのかを明確にすることが大切です。

施術適性のチェックリスト

適性	脂肪注入がおすすめの方	他の施術を検討すべき方
価値観	異物は入れたくない、自然派志向	劇的な変化、硬質な高さを重視
持続性	半永久的な効果を希望	一時的でも良い、流行に合わせて変えたい
環境	1週間程度のダウンタイムが許容可能	翌日から絶対に顔を腫らせない

鼻翼基部脂肪注入に関するFAQ

鼻翼基部への脂肪注入に関して、術後の体重変化による影響や加齢に伴う変化、メイクや洗顔の開始時期など、施術前によくある疑問と回答をまとめました。

脂肪注入した箇所は太ったら大きくなりますか？

移植して定着した脂肪細胞は、生きた細胞としてその場所に存在します。

そのため、体重が増えて体全体の脂肪細胞が大きくなれば、移植した脂肪細胞も同様に肥大化する可能性があります。

逆に極端に痩せれば小さくなることもあります。

ただし、鼻翼基部は元々脂肪がつきにくい場所であるため、お腹や太もものように劇的にサイズが変わることは稀ですが、術後の極端な体重変動は仕上がりに影響を与える可能性があることを理解しておくことが大切です。

一度定着した脂肪は加齢でなくなりますか？

定着した脂肪が突然消えてなくなることはありませんが、通常の老化現象は避けられません。

加齢とともに顔の脂肪や骨が萎縮していくのと同様に、移植した脂肪も長い年月をかけてゆっくりとボリュームを失うことはあり得ます。

しかし、注入しなかった場合と比較すれば、ふっくらとした若々しい状態を長く維持できることは間違いありません。

老化のスピードを緩めるための貯金のようなものと考えていただくと良いでしょう。

術後の洗顔やメイクはいつから可能ですか？

洗顔は通常、手術の翌日から可能ですが、注入部位を強く擦らないように泡で優しく洗う必要があります。

メイクに関しては、針穴（注入箇所）を避ければ翌日から可能なクリニックが多いですが、注入部位そのものへのメイクは感染予防のため数日間控えることが推奨されます。

ダウンタイム中の内出血を隠すためにコンシーラーを使用する場合も、清潔なブラシやチップを使用し、肌への負担を最小限に抑えるよう心がけてください。

鼻翼基部に入れると鼻が広がって見えませんか？

注入直後は麻酔や腫れの影響で、小鼻が横に広がったように見えることがありますが、これは一時的なものです。

適切な層（深い層）に適量を注入している限り、脂肪によって小鼻が恒久的に広がることはほぼありません。

むしろ、凹みが解消されることで小鼻の付け根の食い込みが浅くなり、小鼻が目立たなくなる視覚効果も期待できます。

ただし、浅い層に大量に入れすぎると広がりを感じるリスクがあるため、医師のデザイン力と注入技術が重要になります。