太ももの脂肪が落ちない原因は?セルライトと皮下脂肪を撃退する効果的な落とし方

太ももの脂肪が落ちない原因は?セルライトと皮下脂肪を撃退する効果的な落とし方

ダイエットを頑張っても太ももだけ細くならないのは、女性特有の身体の構造やホルモンバランス、そして長年の生活習慣が複雑に絡み合っているからです。

自己流の食事制限や運動だけでは、凝り固まったセルライトや深い層にある皮下脂肪へアプローチすることが難しいため、正しい知識と戦略が必要です。

この記事では、太ももの脂肪が落ちない原因を根本から解明し、今すぐ実践できるセルフケアから、医療の力を使った確実な解決策までを網羅しました。

理想の脚線美を手に入れるための正しい道筋をご案内します。

目次

この記事を書いた人

アリエルバストクリニック 院長 石塚 紀行

石塚 紀行
ARIEL .BUST.CLINIC 院長
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資格・所属

  • 日本形成外科学会専門医
  • コンデンスリッチファット(CRF)療法認定医
  • VASER Lipo認定医
  • Juvederm Vista 認定医
  • 乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施医師
  • 日本形成外科学会所属
  • 日本美容外科学会(JSAPS)所属

【略歴】
脂肪吸引、豊胸を専門としている形成外科専門医。獨協医科大学医学部卒業後、獨協医科大学病院形成外科・美容外科入局。足利赤十字病院形成外科、獨協医科大学埼玉医療センター 形成外科学内助教、THE CLINIC大阪院・名古屋院の副院長を経て2024年、名古屋にARIEL .BUST.CLINICを開院。

ARIEL .BUST.CLINICは、脂肪吸引を得意とする名古屋のクリニックです。それぞれの体型や悩みに応じた専門性を活かしたご提案をしており、傷跡や傷のケアに形成外科専門医としての知識と技術を評価いただき、全国から患者様にお越しいただいています。

ボディメイクは決して焦る必要のないものです。このサイトでは脂肪吸引に関連する多くの記事を書いていますので、すぐに施術を決めることはせず、まずはぜひ患者様自身で知識をつけた上でご希望のクリニックへ相談されるようにしてください。

太ももの脂肪が落ちにくい根本的な理由と身体の構造

太ももの脂肪が他の部位に比べて落ちにくいのは、身体がこの部位を生命維持や生殖機能に関わる重要なエネルギー貯蔵庫として認識しており、分解よりも蓄積を優先する働きが強力に作用しているためです。

多くの女性が直面する「上半身は痩せたのに脚だけ太いまま」という現象は、身体が持つ生理的な防御反応の一種です。

太ももやお尻周りは、妊娠や出産時のエネルギー源として脂肪を蓄えやすい性質を持っています。

加えて、重力の影響で水分や老廃物が下半身に溜まりやすく、それらが脂肪細胞と結びついて頑固な状態を作り出しています。

太ももの脂肪が頑固である主な要因を整理すると、以下のようになります。

要因特徴と影響ダイエットへの障壁
受容体の分布脂肪を溜め込む指令を出す受容体が多く分布している食事制限をしても優先順位として太ももの脂肪は後回しにされる
血流と温度心臓から遠く、重力の影響で血流が滞り冷えやすい脂肪分解酵素リパーゼが活性化せず、燃焼反応が起きにくい
ホルモン作用女性ホルモンが下半身への脂肪保護を指令する生理周期や年齢によるホルモン変化で脂肪が定着しやすい

これらの要因が複合的に重なることで、単なるカロリー消費だけでは解消できない状態が作られています。それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

女性ホルモンと脂肪蓄積の関係性

女性の体型変化には、エストロゲンなどの女性ホルモンが大きく関与しています。思春期以降、女性らしい丸みを帯びた体つきを作るために、ホルモンは太ももやヒップへの脂肪蓄積を促します。

これは将来の妊娠や授乳に備えるための自然な働きですが、過剰なカロリー摂取や運動不足が重なると、必要以上に脂肪が定着してしまいます。

生理周期によるホルモンバランスの変動も無視できません。

排卵後から生理前にかけては体が水分や栄養を溜め込みやすくなるため、この時期に無理なダイエットを行うと、かえって体が飢餓状態を感じ取り、脂肪をロックしてしまうことがあります。

ホルモンの波を理解し、体が痩せやすい時期と溜め込みやすい時期を見極めて対策を打つことが重要です。

脂肪細胞の受容体分布の違い

脂肪細胞の表面には、脂肪の分解を促す受容体と、合成を促す受容体が存在します。

太ももの脂肪細胞は、残念ながら「合成を促す受容体」の数が圧倒的に多く、「分解を促す受容体」が少ないという特徴があります。

つまり、お腹周りの脂肪に比べて、太ももの脂肪は入ってくるエネルギーを受け入れやすく、一度蓄えると放出しにくい性質を持っています。

この受容体の分布は遺伝的な要素も強いですが、後天的な環境によっても変化します。冷えや血行不良が続くと、細胞レベルでの代謝活動が低下し、ますます脂肪が離れにくい状態になります。

一般的なカロリー制限だけでは、この受容体のバリアを突破するのが難しいため、物理的な刺激や温熱効果など、別のアプローチを組み合わせる必要があります。

冷えと血行不良による悪循環

太ももを触ってみて、お腹や腕よりも冷たいと感じる場合は要注意です。脂肪組織は血管が少なく、一度冷えると温まりにくい性質があります。

冷えた脂肪周辺では毛細血管が収縮し、酸素や栄養素が届かず、同時に老廃物の回収も滞ります。

血液循環が悪くなると、脂肪を燃焼させるための酵素やホルモンが患部まで十分に運ばれません。

その結果、どんなに運動をして全身の代謝を上げても、冷えている太ももだけは代謝の蚊帳の外に置かれてしまいます。

さらに、冷えはむくみを引き起こし、むくみが血管を圧迫してさらに冷えるという「負のスパイラル」を形成します。この循環を断ち切らない限り、脂肪を落とすことは極めて困難です。

皮下脂肪とセルライトの明確な違いと見分け方

太もものサイズダウンを目指す際は、ターゲットが「皮下脂肪」なのか「セルライト」なのかを見極めることが重要です。それぞれ性質や効果的なアプローチが異なるからです。

一般的に、皮膚をつまんだときに柔らかく厚みがあるのが皮下脂肪、表面がボコボコとして硬く、つまむと痛みを感じる場合があるのがセルライトです。

これらは別物のように扱われますが、実はセルライトは皮下脂肪が変性した成れの果てです。

皮下脂肪が肥大化し、周囲の血管やリンパ管を圧迫することで老廃物が蓄積し、コラーゲン繊維と絡み合って硬化したものがセルライトです。まずは自分の太ももの状態を以下の表で確認してみましょう。

脂肪の種類の見分け方と対策

種類見た目と感触推奨されるアプローチ
皮下脂肪表面は滑らかで、つまむと柔らかく厚みがあるカロリーコントロールと有酸素運動、筋力トレーニング
セルライト表面に凹凸があり、つまむと硬く、冷えていることが多いマッサージ、リンパドレナージュ、温熱ケア、医療痩身
筋肉太り(参考)力を入れるとカチカチに硬くなり、脂肪がつまみにくいストレッチ、マッサージ、負荷の低い有酸素運動

柔らかくつまめる皮下脂肪の特徴

皮下脂肪は、皮膚のすぐ下にある脂肪層で、外部の衝撃から体を守ったり、体温を維持したりする役割を果たしています。女性らしい丸みのあるボディラインを作るのもこの脂肪です。

特徴としては、比較的柔らかく、指で簡単につまむことができます。

皮下脂肪は「定期預金」に例えられることが多く、内臓脂肪(普通預金)に比べて出し入れがしにくい、つまり燃焼しにくい性質があります。

長期間のカロリーオーバーや運動不足によって徐々に蓄積されていきます。落とすためには、長期的な視点での食事コントロールと、有酸素運動による持続的な燃焼が必要です。

急激には落ちませんが、正しい生活習慣を継続すれば徐々に薄くなっていきます。

ボコボコしたセルライトの正体

セルライトは、医学的には特別な脂肪ではなく、脂肪組織の状態が悪化したものを指します。肥大化した脂肪細胞が周囲の繊維組織を押し上げ、皮膚表面に凹凸となって現れます。

オレンジの皮のように見えることから「オレンジピールスキン」とも呼ばれます。

セルライトが厄介なのは、単なる脂肪の塊ではなく、老廃物や余分な水分を巻き込んでガチガチに固まっている点です。こうなると血管が圧迫され、代謝機能が著しく低下します。

食事制限をしても、この固まった部分には分解シグナルが届きにくいため、自然に消滅することはほとんどありません。

マッサージで物理的にほぐしたり、温めて血行を良くしたりする外部からのアプローチが必要になります。進行すると冷えや痛みの原因にもなるため、早めのケアが大切です。

内臓脂肪との決定的な違い

ダイエットにおいてよく比較されるのが内臓脂肪です。内臓脂肪は腹腔内の臓器の周りにつく脂肪で、男性や閉経後の女性につきやすい傾向があります。

内臓脂肪は代謝が活発で、少しの運動や食事制限ですぐに反応して減っていきます。

対して、太ももにつく皮下脂肪やセルライトは、一度つくと簡単には落ちません。

これは、内臓脂肪が「すぐに使えるエネルギー」としてストックされるのに対し、皮下脂肪は「飢餓に備えた長期備蓄」としての役割が強いからです。

そのため、「お腹は凹んだのに脚は太いまま」という現象が起きます。この違いを理解し、太ももの脂肪には時間をかけた根気強いアプローチか、あるいは直接的な除去が必要であることを認識しましょう。

太ももを太くしてしまう日常の悪習慣と姿勢

太ももの脂肪が落ちない大きな原因のひとつは、無意識のうちに行っている日常の姿勢や生活習慣にあり、これらを改善しない限りどのようなダイエットも効果を発揮しません。

特に骨盤の歪みや歩き方の癖は、太ももの筋肉の使われ方に偏りを生じさせます。

本来使われるべき筋肉が使われず、一部の筋肉だけに過度な負担がかかると、その周辺の血流が悪くなり、脂肪がつきやすくなります。以下のような習慣に心当たりがないか、まずはチェックしてみましょう。

改善すべき生活習慣チェックリスト

  • 座り方の見直し
    足を組む癖は骨盤を歪ませる最大の原因です。両足を床につけ、骨盤を立てて座る意識を持ちましょう。
  • 長時間の同一姿勢を避ける
    デスクワーク中は1時間に1回は立ち上がり、軽く屈伸をするなどして血流をリセットすることが大切です。
  • 塩分摂取のコントロール
    味の濃い食事を控え、カリウムを含む野菜や果物を積極的に摂ることで、水分代謝を正常化させます。
  • 入浴習慣をつける
    シャワーだけで済まさず、湯船に浸かって水圧と温熱効果で下半身の血流を促進させましょう。
  • 正しい歩き方の意識
    足を引きずったり、内股やガニ股で歩いたりせず、かかとから着地して親指で蹴り出す歩行を心がけましょう。

骨盤の歪みと前ももの張り

骨盤が前傾(反り腰)や後傾(猫背)していると、重心のバランスが崩れます。

特に反り腰の人は、常に重心が前にかかっているため、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が過剰に発達し、パンパンに張ってしまいます。

筋肉が常に緊張状態にあると、その上にある脂肪や皮膚も硬くなり、血行不良を招きます。

骨盤が開いている場合も注意が必要です。太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋など)に負担がかかり、外側に張り出したような脚のラインになります。

骨盤を正しい位置に戻し、重心を足裏全体で均等に支えることができるようになると、不要な筋肉の張りが取れ、脂肪の燃焼効率も上がります。

むくみを招く食生活と塩分

太ももは心臓から遠く、重力の影響を受けるため、体の中で最もむくみやすい部位のひとつです。

むくみの主な原因は、塩分の過剰摂取です。体内のナトリウム濃度が高まると、体は濃度を薄めようとして水分を溜め込みます。

コンビニ食や加工食品、外食が多い食生活は塩分過多になりがちです。むくみを放置すると、余分な水分や老廃物が脂肪細胞の間に留まり、セルライトの形成を加速させます。

「夕方になると靴がきつい」「朝起きると脚が重い」といった症状は、すでにむくみが慢性化しているサインです。水分の排出を促すカリウムを含む食材を意識的に摂るなど、食事内容の見直しが必要です。

運動不足による筋ポンプ作用の低下

脚の血液やリンパ液を心臓に戻すためには、ふくらはぎや太ももの筋肉が収縮・弛緩を繰り返す「筋ポンプ作用」が必要です。

デスクワークなどで長時間座りっぱなしの状態が続くと、このポンプ機能が停止し、下半身の巡りが完全に滞ります。

運動不足によって筋肉量が減少すると、基礎代謝が下がるだけでなく、冷えも加速します。

特に内転筋(内ももの筋肉)やハムストリングス(裏ももの筋肉)は日常生活であまり使われないため、意識して動かさないとすぐに衰え、たるみや脂肪蓄積の原因となります。

自宅でできる効果的なセルフケアと食事法

頑固な太ももの脂肪やセルライトを撃退するためには、高額なエステに通うだけでなく、自宅での地道なケアを継続することが、結果への近道となります。

セルフケアの鍵は「循環」です。マッサージで物理的にリンパの流れを良くし、ストレッチで筋肉の緊張をほぐし、食事で内側からデトックスを促す。

この3本柱を組み合わせることで、脂肪が燃焼しやすい土台を作ることができます。一朝一夕で劇的な変化は望めませんが、毎日続けることで確実に脚のラインは変わってきます。

リンパマッサージの正しい手順

リンパマッサージは、滞った老廃物を流し、セルライト予備軍を解消するのに有効です。タイミングはお風呂上がりなど体が温まっている時が良いでしょう。

オイルやクリームを使用し、皮膚への摩擦負担を減らすことが大切です。

まず、足首からふくらはぎ、膝裏へと下から上に向かって流します。膝裏には大きなリンパ節があるので、ここを優しくプッシュして刺激します。

次に、太ももの内側、外側、前側、裏側を、膝上から足の付け根(鼠蹊部)に向かって、手のひら全体を使って流し上げます。特にセルライトが気になる部分は、雑巾を絞るように揉みほぐすと効果的です。

最後に鼠蹊部のリンパ節を軽く押して終了です。強い痛みを感じるほどやる必要はなく、「気持ち良い」と感じる強さで行いましょう。

股関節の柔軟性を高めるストレッチ

太もも痩せにおいて見落とされがちなのが、股関節の柔軟性です。股関節周りが硬いと、下半身への血流やリンパの流れが根本で堰き止められてしまいます。

また、可動域が狭いと歩行時の筋肉の使い方が偏り、太ももが太くなる原因になります。

床に座って足の裏を合わせ、膝をパタパタと上下させるストレッチや、足を前後に大きく開いて腸腰筋(足の付け根の筋肉)を伸ばすストレッチが有効です。

股関節が柔らかくなると、日常生活での動作が大きくなり、消費カロリーも自然とアップします。寝る前のリラックスタイムに行うことで、副交感神経が優位になり、質の良い睡眠にもつながります。

むくみ解消に役立つ栄養素と食材

食事面では、カロリーを減らすこと以上に「何を食べるか」が重要です。太もも痩せのためには、余分な水分を排出し、代謝を助ける栄養素を積極的に取り入れる必要があります。

特に意識したいのが「カリウム」です。カリウムは体内のナトリウム(塩分)と結びついて排出を促す働きがあります。

また、血流を良くするビタミンEや、筋肉の材料となるタンパク質も欠かせません。以下に、積極的に摂取したい栄養素と食材をまとめました。

栄養素主な働き多く含む食材
カリウムナトリウムの排出を促し、むくみを解消するアボカド、バナナ、ほうれん草、海藻類、きゅうり
ビタミンB群糖質や脂質をエネルギーに変換する代謝を助ける豚肉、玄米、大豆製品、レバー、カツオ
タンパク質筋肉を作り基礎代謝を維持・向上させる鶏ささみ、卵、魚介類、豆腐、納豆

食事制限をしすぎてタンパク質不足になると、筋肉が落ちて代謝が下がり、逆に脂肪がつきやすい体質になってしまうので注意が必要です。

太ももの脂肪燃焼に特化した運動メソッド

食事やマッサージで準備を整えたら、実際に脂肪を燃焼させ、引き締まったラインを作るための運動を取り入れることが重要です。

太ももの脂肪を落とすには、「有酸素運動」で脂肪を燃やし、「筋力トレーニング」で引き締めるという組み合わせが最も効果を発揮します。

筋肉をつけると脚が太くなると思われがちですが、適切な負荷とフォームで行えば、むしろ引き締まって細く見えます。目的別のおすすめエクササイズと推奨頻度は以下の通りです。

目的別おすすめエクササイズ強度

種目ターゲット部位推奨頻度と回数
ワイドスクワット内もも・お尻15回 × 3セット(週3〜4回)
ヒップリフト裏もも・お尻・背中20回 × 3セット(週3〜4回)
ウォーキング下半身全体・脂肪燃焼1回30分以上(可能な限り毎日)

内転筋とハムストリングスを鍛えるスクワット

スクワットは「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれるほど消費カロリーが高く、下半身全体を効率よく鍛えられます。

太もも痩せには、通常のスクワットよりも足幅を広く開く「ワイドスクワット」が適しています。

足を肩幅の1.5倍から2倍に開き、つま先を外側に向けます。背筋を伸ばしたまま、お尻を真下に下ろしていきます。

このとき、膝が内側に入らないように注意し、内ももが伸びていることを意識します。太ももが床と平行になるまで下ろし、ゆっくりと元に戻します。

この動作は内転筋をダイレクトに刺激し、内もものたるみを解消すると同時に、ヒップアップ効果も期待できます。

脂肪燃焼効率を上げる有酸素運動

蓄積された皮下脂肪をエネルギーとして消費するには、有酸素運動が必要です。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどが代表的です。

太もも痩せを意識する場合、フォームが非常に重要です。例えばウォーキングでは、地面を蹴る際にお尻と裏ももの筋肉を使うように意識し、大股で歩くことでストレッチ効果も得られます。

ダラダラと歩くのではなく、少し息が弾む程度の強度で20分以上続けると、脂肪燃焼スイッチが入ります。

水中ウォーキングは水圧によるマッサージ効果と抵抗による筋トレ効果が同時に得られるため、膝への負担が不安な方にもおすすめです。

筋肉太りを防ぐフォームの重要性

運動をしたら逆に脚が太くなった、というケースの多くは、フォームが間違っていて前ももや外ももばかりを使っていることが原因です。

これらの筋肉は日常的に使いすぎて張っていることが多いため、さらに負荷をかけると肥大化してしまいます。

トレーニング中は「どこの筋肉を使っているか」を常に意識することが大切です。前ももにばかり力が入ってしまう場合は、骨盤が前傾している可能性があります。

まずは姿勢を正し、お尻や裏ももを使う感覚を掴んでから回数を重ねるようにしましょう。回数よりも質を重視することで、しなやかで細い筋肉がついた美脚へと近づきます。

セルフケアの限界と医療痩身という選択肢

ここまでセルフケアや運動について解説してきましたが、長年蓄積された硬いセルライトや、遺伝的要素の強い脂肪細胞の数そのものを減らすには、自力だけでは限界があることも事実です。

特に「部分痩せ」は、生理学的に非常に難しいとされています。

全体的に痩せても太ももだけが残る、あるいはリバウンドを繰り返してしまうという場合は、医療の力を借りることで、物理的に脂肪細胞を除去または破壊する選択肢があります。

主な医療痩身メニューの特徴を比較してみましょう。

医療痩身メニューの比較検討

治療法即効性と変化量ダウンタイム
脂肪吸引非常に高い(劇的な変化)あり(痛み、腫れ、内出血、圧迫固定が必要)
脂肪溶解注射中程度(回数が必要)ほぼなし(軽い腫れや内出血程度)
冷却・加熱マシン緩やか(1〜2ヶ月後に実感)なし(直後から日常生活が可能)

脂肪溶解注射と医療機器のアプローチ

メスを使わずに脂肪を減らしたい場合、脂肪溶解注射や医療痩身マシンが選択肢となります。脂肪溶解注射は、薬剤を皮下脂肪に直接注入し、脂肪細胞を溶かして体外へ排出させる方法です。

ピンポイントで気になる部分にアプローチでき、ダウンタイムも比較的軽いです。

医療マシンには、脂肪を冷却して破壊する「冷却痩身」や、高周波(RF)や超音波(HIFU)の熱エネルギーで脂肪細胞を破壊するものがあります。

これらは徐々に脂肪細胞が減っていくため、自然な変化を望む人に適しています。ただし、1回で完結するものは少なく、複数回の施術が必要になることが一般的です。

また、セルライトの改善には、衝撃波を用いた治療機器なども有効です。

確実な効果を出す脂肪吸引の特徴

太ももの脂肪を確実かつ大幅に減らしたい場合、最も効果的なのは脂肪吸引です。これはカニューレ(吸引管)を使って、皮下脂肪を直接吸引して取り除く手術です。

脂肪吸引の最大のメリットは「リバウンドの可能性が極めて低い」ことです。太るということは脂肪細胞が「肥大化」することですが、脂肪吸引は脂肪細胞の「数」そのものを減らします。

成人の脂肪細胞の数は基本的に増減しないため、一度取り除けば、その部分に再び脂肪がつくリスクは大幅に下がります。

太もものように脂肪層が厚い部位は、数センチ単位でのサイズダウンが可能で、ボディラインのデザイン性も高いため、理想の脚の形を実現しやすい治療法です。

ダイエット成功後のリバウンド防止と維持方法

苦労して太ももの脂肪を落とした後、最も重要なのはその状態を維持することです。リバウンドをしてしまうと、以前よりも脂肪が落ちにくい体質になってしまうリスクがあります。

特に脂肪吸引などの医療処置を受けた後も、暴飲暴食をしてしまえば、残った脂肪細胞が肥大化する可能性があります。また、生活習慣が元の悪い状態に戻れば、再びむくみやセルライトが発生します。

美しい脚を永続的にキープするために、以下の5つのルールを生活に取り入れましょう。

美脚を維持するための5つのルール

  • 体を冷やさない工夫
    夏場でも冷房対策を行い、入浴習慣を続けることで、常に代謝の良い状態をキープします。
  • 水分補給の徹底
    1日1.5〜2リットルの水をこまめに飲み、体内の循環を滞らせないようにします。
  • 姿勢のチェック
    1日に数回は壁に背中をつけて立ち、骨盤の位置や重心が崩れていないか確認します。
  • タンパク質優先の食事
    筋肉量を維持するために、毎食手のひら一枚分のタンパク質源を摂取するよう心がけます。
  • 睡眠の質を高める
    睡眠不足はホルモンバランスを崩し食欲を増進させるため、十分な睡眠時間を確保します。

術後の圧迫固定とマッサージの重要性

脂肪吸引を行った場合、術後の「圧迫固定」は仕上がりを左右する非常に重要な要素です。脂肪がなくなったスペースを皮膚と組織が正しく癒着するように、専用のガードルで圧迫します。

これを怠ると、皮膚がたるんだり、凹凸ができたりする原因になります。

組織が修復する過程で「拘縮(こうしゅく)」という皮膚が硬くなる現象が起きます。これを滑らかにするためには、適切な時期からのマッサージが必要です。

医療処置を受けていない場合でも、日々のマッサージや着圧ソックスの活用は、むくみをその日のうちにリセットし、太ももを太らせないための予防策として有効です。

太りにくい身体を作る生活習慣の定着

リバウンドを防ぐためには、一時的なダイエットではなく、太りにくい生活習慣を当たり前にする必要があります。これは決してストイックな生活を続けるという意味ではありません。

例えば、「エスカレーターではなく階段を使う」「飲み物は常温の水を選ぶ」「夜遅くの炭水化物は控える」といった小さな選択の積み重ねが重要です。

また、定期的に鏡で自分の脚のラインをチェックしたり、少しきつめのズボンを履いてサイズ感を確かめたりすることで、体型の変化に早期に気づくことができます。

モチベーションを維持し、良い習慣を無意識レベルまで落とし込むことが、美脚を維持する秘訣です。

Q&A

太ももの脂肪対策や落とし方について、多くの患者様や読者の方から寄せられる疑問にお答えします。正しい知識を持つことで、不安を解消し、適切なアクションを起こす参考にしてください。

短期間で太ももだけを細くすることは可能ですか?

食事制限や運動のみで、短期間(1週間など)に太ももだけを劇的に細くすることは生理学的に非常に困難です。

脂肪は全体的に燃焼していく性質があり、太もものような部分痩せは最も難しいとされています。

むくみを取ることで一時的に細く見せることは可能ですが、脂肪そのものを短期間で落としたい場合は、脂肪吸引などの医療的な介入が唯一の確実な手段となります。

セルライトは完全に消すことができますか?

一度できてしまったセルライトを、セルフケアだけで「完全に」消滅させるのは難しいのが現実です。

マッサージや運動で目立たなくすることは可能ですが、繊維化した組織を元通りにするには限界があります。

医療機関での専用機器による治療や、皮下脂肪ごと除去する施術を行うことで、滑らかな皮膚の状態に近づけることが可能です。

脂肪吸引後の傷跡は目立ちますか?

最近の脂肪吸引技術では、カニューレ(吸引管)を挿入するための切開口は数ミリ程度と非常に小さくなっています。

また、鼠蹊部(足の付け根)のシワの中やお尻のシワの下など、下着や水着で隠れる目立ちにくい場所に傷を作るよう配慮されています。

術後数ヶ月は赤みがありますが、時間の経過とともに白く薄くなり、最終的にはほとんどわからなくなるケースが大半です。

ダイエットをやめたらすぐにリバウンドしますか?

通常のダイエット(食事制限や運動)で脂肪細胞を小さくした場合、元の生活に戻れば脂肪細胞は再び肥大化し、リバウンドします。

一方、脂肪吸引で脂肪細胞の数そのものを減らした場合は、残っている細胞が多少肥大化したとしても、元の太さに戻る可能性は極めて低いです。

ただし、暴飲暴食を続ければ内臓脂肪がついたり、残存した皮下脂肪が膨らんだりするため、健康的な生活習慣の維持は大切です。

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