脂肪吸引の痛みはいつまで？手術直後から痛みのピーク、回復までの全経過を解説

脂肪吸引を受けたいけれど、手術後の痛みがどれくらい続くのか不安に感じていませんか。「脂肪吸引の痛みはいつまで続くの？」「痛みのピークはいつ頃？」といった疑問は、多くの方が抱くものです。

この記事では、脂肪吸引の手術直後から回復までの痛みの全経過を、時期別・部位別に詳しく解説します。

痛みの原因から、ご自身でできる効果的なケア方法、ダウンタイム中の生活の工夫まで、具体的な情報を提供します。

この記事を読めば、痛みの正体と対処法がわかり、安心して手術に臨む準備が整うでしょう。

脂肪吸引の痛みはなぜ起こるのか

脂肪吸引の手術後に痛みを感じるのは、身体の正常な反応です。しかし、なぜ痛みが起こるのか、その原因を正しく理解することで、過度な不安を和らげ、適切な対処ができます。

ここでは、脂肪吸引で痛みが発生する主な理由について解説します。

手術による組織へのダメージ

脂肪吸引は、「カニューレ」という細い管を皮下脂肪層に挿入し、脂肪細胞を吸引する手術です。このとき、脂肪細胞だけでなく、周辺の血管や神経、結合組織にもある程度のダメージが加わります。

身体は、このダメージを「怪我」として認識し、治癒しようとする過程で炎症反応を起こします。この炎症反応が、熱感や腫れとともに痛みを引き起こす主な原因です。

麻酔が切れた後の反応

手術中は、静脈麻酔や局所麻酔などを使用するため、痛みを感じることはありません。しかし、手術が終わり麻酔が覚めてくると、これまで抑制されていた痛みの感覚が戻ってきます。

特に、手術当日の夜から翌日にかけては、麻酔の効果が完全に切れるため、痛みを強く感じやすい時期です。これは、身体が受けたダメージをはっきりと認識し始めるサインでもあります。

痛みを感じやすい人とそうでない人の違い

同じ手術を受けても、痛みの感じ方には個人差があります。これは、元々の体質や痛みに対する耐性、精神的な状態などが影響するためです。

一般的に、痛みに対して敏感な方や、手術に対する不安が強い方は、痛みをより強く感じやすい傾向があります。

また、普段から運動習慣がなく、筋肉量が少ない方は、術後の筋肉痛に似た痛みを強く感じることがあります。

痛みの感じ方に影響を与える要素

• 精神的な不安の度合い
• 元々の痛みに対する耐性
• 筋肉量の多少
• 皮膚の柔らかさ

吸引量と痛みの関係

吸引する脂肪の量も、痛みの強さに影響を与える重要な要素です。

広範囲から多くの脂肪を吸引した場合、それだけ組織へのダメージも大きくなり、術後の痛みや腫れ、内出血も強く出る傾向があります。

逆に、吸引量が少ない場合や、範囲が限定的な場合は、身体への負担が少なく、回復も比較的早いことが多いです。

カウンセリングの際に、ご自身の希望する吸引量と、それに伴うダウンタイムについて、医師としっかり相談することが大切です。

【時期別】脂肪吸引の痛みの経過とピーク

脂肪吸引後の痛みは、時間の経過とともに変化していきます。いつ痛みのピークが来て、いつ頃楽になるのか、具体的な経過を知っておくことで、心の準備ができます。

ここでは、手術直後から回復期までの痛みの変化を時系列で詳しく見ていきましょう。

手術直後（当日）の痛み

手術当日は、クリニックで少し休んだ後、麻酔がある程度効いた状態で帰宅します。帰宅後、数時間経つと徐々に麻酔が切れ始め、ジンジンとした痛みや、鈍い痛みを感じるようになります。

痛み止めを処方されるので、痛みが強くなる前に服用しておくと、夜も比較的楽に過ごせます。この時期は、無理に動かず、安静にすることが重要です。

術後1日〜3日目 痛みのピーク

一般的に、脂肪吸引の痛みは術後1日から3日目にかけてピークを迎えます。

この時期の痛みは、「ひどい筋肉痛」や「強く打撲したような痛み」と表現されることが多く、特に起き上がる、座る、歩くといった動作の際に強く感じます。

処方された痛み止めを定期的に服用し、できるだけ安静に過ごしましょう。腫れや内出血もこの時期に最も目立つようになります。

時期別の痛みのレベルと特徴

時期	痛みのレベル（10段階）	痛みの特徴
手術当日	3～5	麻酔が切れ始め、ジンジンとした鈍痛
術後1～3日	7～9	ピーク。強い筋肉痛や打撲のような痛み
術後1週間	4～6	動いた時の痛みが中心。安静時は楽になる

術後1週間 強い痛みからの変化

術後1週間を過ぎると、痛みのピークは越え、日常生活がかなり楽になってきます。

安静にしている時の痛みはほとんどなくなり、体を動かした時に「つっぱるような感じ」や「軽い痛み」を感じる程度に落ち着きます。

この頃から、デスクワークなどの軽作業であれば仕事に復帰する人も増えてきます。内出血も徐々に黄色く変化し、薄くなっていきます。

術後2週間〜1ヶ月 拘縮（こうしゅく）による痛み

術後2週間頃から、「拘縮」という現象が始まります。これは、脂肪を吸引した部分の皮膚が硬くなり、凸凹したり、つっぱり感が出たりする症状です。

治癒のために新しい組織が作られる過程で起こる正常な反応ですが、動かした際にひきつれるような痛みや違和感を伴うことがあります。

この時期は、マッサージやストレッチを始めることで、拘縮の緩和を助けます。

【部位別】脂肪吸引の痛みの特徴と期間

脂肪吸引の痛みは、手術を受ける部位によっても強さや性質が異なります。皮膚の厚さや脂肪の量、日常的な動きとの関連性などが影響します。

ここでは、人気の部位ごとに痛みの特徴と回復期間の目安を解説します。

お腹（腹部）の脂肪吸引の痛み

お腹は、起き上がる、笑う、咳をするといった腹筋を使う動作で痛みを感じやすい部位です。特に、上腹部よりも下腹部の方が痛みは強い傾向にあります。

痛みのピークは術後3日目頃までで、その後は徐々に和らぎます。腹部は範囲が広く、吸引量も多くなりがちなため、腫れや内出血も比較的目立ちやすいですが、1ヶ月後にはかなり落ち着きます。

太ももの脂肪吸引の痛み

太ももは、歩く、座る、階段の上り下りなど、日常生活のあらゆる動作で使うため、痛みを感じやすい部位の一つです。特に内ももは皮膚が薄く、痛みや内出血が出やすい傾向があります。

術後1週間は、歩行時に強い筋肉痛のような痛みを感じることが多いでしょう。拘縮も出やすいため、術後のマッサージが重要になります。

部位別の痛みの強さと期間の目安

部位	痛みの強さ（5段階）	痛みが続く期間の目安
お腹（腹部）	4	強い痛みは1週間、違和感は1ヶ月程度
太もも	5	強い痛みは1週間、拘縮の痛みは3ヶ月程度
二の腕	3	強い痛みは3～5日、腕を上げた際の痛みは2週間程度

二の腕の脂肪吸引の痛み

二の腕は、他の部位に比べて吸引量が少なく、ダウンタイムも比較的短い傾向があります。腕を高く上げる、重いものを持つといった動作で痛みを感じますが、日常生活への影響は比較的少ないでしょう。

ただし、むくみやすい部位なので、術後は圧迫やマッサージをしっかり行うことが大切です。

顔（頬・あご下）の脂肪吸引の痛み

顔の脂肪吸引は、吸引範囲が狭いため、身体への負担が少なく、痛みも軽度な場合がほとんどです。食事や会話の際に多少の違和感や軽い痛みを感じることがありますが、数日で落ち着きます。

痛みよりも、腫れや内出血が気になる部位ですが、フェイスバンドによる圧迫をしっかり行うことで、ダウンタイムを短縮できます。

脂肪吸引後の痛みを和らげる効果的なセルフケア

手術後の痛みを完全に無くすことはできませんが、適切なセルフケアを行うことで、痛みを大幅に軽減し、回復を早めることができます。

クリニックの指示に従い、正しいケアを実践しましょう。

処方された痛み止めの正しい服用方法

手術後には、痛み止め（鎮痛剤）が処方されます。痛みを我慢せず、「痛くなりそうだな」と感じたタイミングで早めに服用するのがポイントです。

特に痛みがピークを迎える術後3日間は、時間を決めて定期的に服用すると、痛みをコントロールしやすくなります。

ただし、自己判断で量を増やしたり、市販薬を併用したりするのは避け、必ず医師の指示に従ってください。

主な処方薬の種類と特徴

薬剤名（一般名）	種類	特徴
ロキソプロフェン	非ステロイド性抗炎症薬	炎症を抑え、痛みを和らげる。胃腸への負担に注意が必要。
アセトアミノフェン	解熱鎮痛薬	作用は穏やかだが、空腹時でも服用しやすく、副作用が少ない。

圧迫着の適切な着用

手術後は、専用の圧迫着（ガードルやサポーター）を着用します。圧迫には、痛みや腫れ、内出血を抑制する効果があります。また、皮膚を固定することで、動いた時の痛みを軽減する役割も果たします。

自己判断で外したり、緩めたりせず、クリニックから指示された期間、正しく着用し続けることが、スムーズな回復への近道です。

体を冷やすアイシングのポイント

術後3日間ほどは、患部が熱を持っている場合、冷やす（アイシング）ことで炎症を抑え、痛みを和らげることができます。

保冷剤や氷嚢をタオルで包み、1回15分程度、1日に数回、圧迫着の上から優しく当てましょう。ただし、直接肌に当てたり、長時間冷やし続けたりすると凍傷の危険があるため注意が必要です。

アイシングの注意点

• 直接肌に当てない
• 1回15分以内にする
• 感覚がなくなったら一旦中断する
• 術後4日目以降は温めるケアに切り替える

安静と適度な活動のバランス

痛みが強い術後数日間は、無理せず安静に過ごすことが第一です。しかし、全く動かないでいると、血行が悪くなり、かえってむくみや回復の遅れにつながることもあります。

痛みが少し落ち着いてきたら、室内を軽く歩いたり、簡単な家事をしたりと、少しずつ体を動かすことを意識しましょう。血流が促進され、腫れや痛みの早期改善に繋がります。

ダウンタイム中の注意点と生活の工夫

ダウンタイムを快適に過ごし、回復を促進するためには、日常生活での少しの工夫が大切です。食事や入浴、仕事復帰など、具体的な注意点について解説します。

食事で気をつけること

ダウンタイム中は、栄養バランスの取れた食事が回復を助けます。特に、傷の修復を助けるタンパク質やビタミン、ミネラルを積極的に摂取しましょう。

逆に、塩分の多い食事はむくみの原因になるため、控えるのが賢明です。また、体を温める食事は血行を良くし、回復をサポートします。

ダウンタイム中に意識したい栄養素

栄養素	役割	多く含まれる食品
タンパク質	組織の修復を助ける	肉、魚、卵、大豆製品
ビタミンC	コラーゲン生成を助ける	パプリカ、ブロッコリー、果物
亜鉛	細胞の再生を促進する	牡蠣、レバー、牛肉

飲酒と喫煙が痛みに与える影響

アルコールは血行を促進するため、摂取すると腫れや痛み、内出血を悪化させる可能性があります。また、喫煙は血管を収縮させ、血行を悪くするため、傷の治りを遅らせる原因になります。

回復を妨げるだけでなく、感染症のリスクも高めるため、少なくとも術後1ヶ月は禁酒・禁煙を厳守することが重要です。

飲酒・喫煙が回復に与える影響

項目	影響	推奨される期間
飲酒	血行促進により腫れや痛みを悪化させる	最低でも抜糸が終わるまで（術後1週間）は控える
喫煙	血管収縮により傷の治りを遅らせる	術前術後、それぞれ1ヶ月以上の禁煙が望ましい

入浴やシャワーはいつから可能か

シャワーは、傷口を防水テープで保護すれば、手術の翌日から可能な場合が多いです。

ただし、体を温めすぎると痛みが強くなることがあるため、長時間の使用は避け、ぬるめの温度で短時間で済ませましょう。

湯船に浸かる入浴は、抜糸が終わる術後1週間頃から可能になります。血行が良くなることで、むくみや内出血の改善が期待できます。

仕事復帰のタイミング

仕事復帰のタイミングは、職種や手術部位によって異なります。デスクワークであれば、痛みが落ち着く術後3日〜1週間程度で復帰する方が多いです。

一方、立ち仕事や体を動かす仕事の場合は、体に負担がかかるため、1〜2週間程度の休みを取ると安心です。無理をすると回復が遅れる原因になるため、ご自身の体調と相談しながら判断しましょう。

仕事復帰の目安

職種	復帰の目安	注意点
デスクワーク	術後3日～1週間	長時間同じ姿勢を避け、時々休憩する
立ち仕事・軽作業	術後1～2週間	むくみ対策をしっかり行う
力仕事	術後1ヶ月以降	医師に相談の上、慎重に判断する

痛みが長引く？考えられる原因と対処法

ほとんどの場合、痛みは時間の経過とともに軽快しますが、まれに痛みが長引いたり、異常な症状が現れたりすることがあります。

そのような場合に考えられる原因と、クリニックに相談すべきサインについて知っておきましょう。

感染症のサインと見分け方

非常にまれですが、傷口から細菌が入り、感染症を起こすことがあります。感染症の主なサインには、手術部位の強い赤み、熱感、腫れが引かない、痛みが日ごとに増していく、膿が出る、などがあります。

また、38度以上の発熱が続く場合も注意が必要です。これらの症状が見られたら、すぐに手術を受けたクリニックに連絡してください。

感染症の主なサイン

• 日に日に強くなる痛み
• 治まらない強い赤みや熱感
• 傷口からの膿
• 38度以上の発熱

血腫（けっしゅ）や漿液腫（しょうえきしゅ）の可能性

血腫は、術後に出血した血液が皮下に溜まってしまう状態です。漿液腫は、リンパ液などの体液が溜まる状態を指します。どちらも、特定の場所に強い腫れや痛み、しこりを生じさせることがあります。

通常は自然に吸収されますが、大きい場合や痛みが強い場合は、クリニックで溜まった液体を抜く処置が必要になることがあります。

神経損傷によるしびれや痛み

脂肪吸引の際に、皮膚の感覚を司る末梢神経が一時的にダメージを受けることがあります。これにより、手術部位の感覚が鈍くなったり、逆にピリピリとしたしびれや痛みを感じたりすることがあります。

ほとんどの場合、数ヶ月かけて自然に回復しますが、症状が長引く場合は医師に相談しましょう。

クリニックに相談すべきタイミング

ダウンタイム中の症状について不安を感じた際は、自己判断せずにクリニックに相談することが最も安全です。

特に、我慢できないほどの強い痛みや、日に日に悪化する症状が見られる場合は、ためらわずに連絡しましょう。早期の対応が、問題を大きくさせないために重要です。

クリニックに連絡すべき症状

症状	考えられる原因	緊急度
我慢できないほどの激痛、増していく痛み	感染症、血腫	高
38度以上の高熱	感染症	高
傷口から膿が出る	感染症	高

脂肪吸引の痛みに関するよくある質問

痛みは筋肉痛と似ていますか？

はい、多くの方が「ひどい筋肉痛」や「強い打撲痛」のようだと表現します。特に、術後数日間のピーク時の痛みは、普段使わない筋肉を激しく動かした後の筋肉痛に似ています。

体を動かす時にズキっとした痛みを感じる点が共通しています。

夜も眠れないほど痛いですか？

痛みのピークである術後1～3日は、処方された痛み止めを飲まないと眠れないと感じる方もいます。

しかし、痛み止めを適切に服用すれば、多くの場合、睡眠を妨げるほどの強い痛みはコントロールできます。痛みが強くなる前に服用するのがコツです。

痛みが怖いのですが、麻酔で調整できますか？

はい、手術後の痛みを軽減するために、さまざまな麻酔の工夫があります。例えば、効果が長時間持続する局所麻酔薬を手術の最後に注入する方法（エクスパレル麻酔など）があります。

これにより、術後2～3日間の最も痛い時期を楽に過ごすことができます。痛みに不安がある方は、カウンセリング時に医師に相談してください。

2回目の脂肪吸引はもっと痛いですか？

いいえ、一概に2回目の方が痛いということはありません。

むしろ、一度経験しているため、精神的な準備ができており、痛みの対処法もわかるため、初回よりも楽に感じたという方も多くいます。

ただし、前回手術した部位は組織が硬くなっている（線維化）場合があり、手術の難易度が少し上がる可能性はあります。